脳MRアンギオについて


 MRアンギオは造影剤を使うこともありますが、造影剤なしでも施行できる血管造影です。脳は呼吸や心拍・体動などの影響が少ないので、MRアンギオも比較的良好な画像が得られます。

 MRアンギオには大きく分けて2つの方法があります。
・Time of Flight 法(TOF 法)
・Phase Encoding 法(PC 法)
 ここでは撮像時間が短く画質も良好な TOF 法について簡単に解説します。短い繰り返し時間(TR)で信号を取っていますと、信号は次第に減衰してきます。これを飽和現象といいます。ところが撮像範囲に範囲外から新たに飛び込んでくる血管内の血液のプロトンは飽和する前に次の血流にバトンタッチしますので、他の組織に比べて信号がきわだって強くなります。このような現象を起こしやすいようにパルスシークエンスや撮像スライス厚を設定して信号を取り、静止した組織からの信号を足切りしてやると血管のみの画像ができるというのが TOF 法の原理です。
 データは2次元でとる場合もありますが、3次元でとったほうが適切なパルスシークエンス(TRやTEを短くできる。スライス厚も細かくできる)になります。普通はデータを3次元でとって2次元平面に投影した画像を作ります。その際の投影法にもいろいろありますが、最もよく使われているのが投影した影が一番濃くなるようにする maximum intensity projection(MIP)法です。

 下の写真は正常例。5分ほど寝ているだけ(注射は無し)でこのような脳の血管像が得られます。像はこの2枚だけというのではなく、15度くらいずつ投影角度をずらして多数の画像をつくります。脳をまわりから見たのと同じになるように。

水平MIP像
 
正面MIP像


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