Answer of Case 2 (骨内脂肪腫)


CT

MRT1

MRT2

写真1(単純CT)

写真2(T1強調MRI)

写真3(T2強調MRI)


 問題で提示した骨単純写真での所見は、踵骨前方よりの透亮像とその中にある軟部組織陰影と石灰化です。この部位では嚢胞・偽嚢胞・脂肪腫の3者を鑑別する必要があります。この症例の場合、単純写真では石灰化が軟部組織の中心部にあるように見えますが、CT(上の写真1)では石灰化は軟部陰影の境界域にあり、典型的な脂肪腫で内部に変性のための嚢胞化と石灰化とを伴っています。
 MRIのT1強調画像では周囲の骨髄脂肪と薄く明瞭な境界で境された高信号(骨梁がないために周囲骨髄よりも高信号になっています)が見られ、内部の嚢胞部分が不規則な低信号として描出されています。当院のボロいMRIではT2強調画像での化学シフトが強く、高信号の嚢胞部分があたかも脂肪腫の頭側にはみ出しているように見えます(画面の関係で嚢胞がハレーションをきたしているように写っているかもしれません)。尾側の黒い帯も化学シフトアーチファクトです。こんなに強いアーチファクトを出す機械って・・・お見せするのはとても恥ずかしいです。え、メーカーですか?
ピッカー社の1.5Tです(現在は Philips 製 1.5T)。
 嚢胞との鑑別は、単純レ線では病変が小さい場合は周囲骨髄とコントラストがつかないので難しいかもしれませんが、そのときはCTやMRIを撮れば、内部に脂肪がなく水濃度であることが簡単に描出でき、誰でも簡単に鑑別が可能です。偽嚢胞は単に骨梁が少ない状態のこと(この部の骨梁の走行の関係上、側面写で嚢胞様に見えるだけ)ですので、これもCTなどで鑑別が可能です。

 今回は比較的簡単だったかもしれません。皆様のご意見をお聞かせください。


問題のページにもどる

今週の症例のページ

ホームページへ

Eメール