マジめな話(危ない抵当証券)

1999年4月25日


   抵当証券のパンフレットを見ると、元金保証(抵当証券会社が保証します)・高利回り(年1%程度)といいことが書いてあるので、結構利用者が多いようです。筆者のような所持金総額が郵便局の貯金限度額にはほど遠い貧乏人には縁のない話ですが、元金保証であるはずの抵当証券が紙クズに変わっているという信じがたい事態があちこちで起こっているようです。1999年4月25日に見たTV番組の特集から抜粋してみます。


 最近、銀行の倒産に合わせてその系列の抵当証券会社も破綻しています。抵当証券会社の発行する抵当証券はある担保(企業の持つ土地)に抵当をつけ、それを小口に分けたものです。抵当証券の購入者から集められた資金は担保の持ち主の企業に渡されます。その企業が倒産しても抵当証券会社が元金を保証するので、銀行預金のように「元金保証」と書いてあるのです。でも、そうではない場合があるのです。

 つまり、抵当証券会社自体が潰れた場合です。この場合、その担保を抵当証券保証機構が競売にかけて、そこで得た金額を抵当証券購入者に分配することになっています。銀行が破綻したときに発動する預金保証機構と同じに見えますが、預金保証機構のように 100%の金額(=元金)が帰ってくるわけではありません。なぜなら・・・

 普通担保になる土地は不動産鑑定士が鑑定した資産価値の7割を上限として担保額が決められているようです。ですからこれを処分すると証券購入者に分配してもまだ残りそうな気がしますが、競売ですから叩き売り金額で処分されます。つまり100%の回収はバブルが再来しない限りまずムリ。
 もし、不動産鑑定士が抵当証券会社の利益を図るために資産価値を多く見積もっていたらどうなるでしょうか。水増し鑑定と呼ばれるもので本来は違法です。ところが実際は横行しているようで、この場合も競売では水増しされた額面より実際の資産価値が基準になりますので、額面(抵当証券の発行総額)よりもはるかに低い額で売りに出されるわけです。場合によっては 1/10くらいしか帰って来ないこともあるようで、もし競売で誰も買わなければ1円も帰って来ないわけです。こうなると抵当証券は1円の価値もない紙屑ということになります。
 抵当証券の担保となっている土地がどこにあって実際はどれくらいの価値があるのかは、証券を購入する方は知りません(調べるのはかなりホネが要ります)。こうしたダークな部分のあるものに素人が手を出すのは危険ですね。

 安全性を考えると、まず郵便局、次に銀行、モノ(金・プラチナ)、最後に有価証券ということになるでしょうか。抵当証券をお持ちのかたはご用心。

 今日はマジなのでオチはないよぉ。

 

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