スカトロジー

1999年5月2日


   え、今日はウンコの話です。私も好きですね。^^;

 以前から外来をしていて疑問に思うことがあります。

患者「下痢が止まらないんです」
私 「便は水みたいですか。それとも固形成分が混じっていますか」
患者「水です。最後の方はしたいのに出なくって」
私 「便の色は」
患者「わかりません」
私 「え、見ていないの」
患者「はい」
私 「お尻拭いた紙についているでしょ」
患者「ええ、でも、紙も見ないので」

 お尻拭いた紙を見ないということは、まだ肛門にウンコがついているかもしれないというのに、そのままパンツをはいてしまうということでしょうね。気持ち悪くないのでしょうか。
 私は拭いた紙は必ず見て、紙に色がつかなくなるまで拭きます。別に不潔恐怖症というわけではありませんが、あまり拭きすぎて紙でこすれて血がにじむこともあります。あ、痔じゃないです、肛門から3cmくらい離れたところからにじんでいますから。このため、パンツには血はついてもウンコはつきません。っていばってどうする。

 昔、雑誌で見た話(何か忘れましたが多分くだらんマンガ雑誌ですから信頼性はないでしょう)ですが、男のうち半数はパンツにウンコがついているという統計結果が出ていました。そういえば、われらがヒーロー金田一ハジメ君も同級生のパツキン娘に
「おまえらのパンツはウンコついているからダメか」
と言い放つシーンがありました(さすがにTVではカットされていたようですが)ので女性でも結構多いのかもしれません。明治時代に政府が招聘したドイツ人医師(どいつだったが忘れましたが、ベルツ博士でしたっけ)が、
「日本人の女性はどんな上流家庭のご婦人でも下布を取るとウンコのニオイガする」
と文明開化という言葉のダークサイドを既に喝破していましたね。

 最近、うちの病院が新しくなったのですが、外来トイレの大部分にウォシュレットがつきました。まだ試していませんが、紙で拭かないとまだ穴にウンコがついているかどうかわからないので、私は多分使わないでしょう。あいつらが水だけで流れるとは思えない。でも最後の仕上げに使うという手があるか。
 さて、どうやってケツを拭くかのが一番いいかというのは大昔から大問題であったようです。古代・中世は省略して17世紀に行きましても、ベルサイユ宮殿などでは庭でノグソをするのが当たり前で、貴族や王族の奥方でさえ庭に出られない事情のときは優雅なドーム状のスカートの中にオマルをさし入れてそしらぬ顔でいたしたとか。ニオイは香水でごまかしたのでしょうが、ミはどうしたのでしょう。当然手では拭けませんわな。この時代から後に水洗トイレが広まったようですが、貴族は紙、庶民は(紙は高いので)草や縄などで拭いていたようですね。知識人ラブレーの書いたガルガンチュワ物語によれば、主人公の唯我独尊的巨人ガルガン君は
「紙などで汚きケツを拭くヤツは、ふぐりの裏にカス残してんなり」
と大見得をきってガチョウの羽で拭いていたことになっています(当時の風刺でしょうから、誰か有名人がそうしていたのでしょう)。生きているガチョウで拭くものですから、お尻にウンコをつけたままガチョウを追いかけ回さなくてはいけません。なんかカワイイですね。ガチョウに大切なものを噛まれたりして。現在見かける茶色のガチョウは祖先が「泥パック」されていた名残かもしれません。^^;

 話を元(どこだ?)に戻しましょう。便の硬度や比重もそうですが、便の色は健康の良いバロメータです。チェックするのにお金はいっさいかかりませんしね。
 ・黒い便 胃や十二指腸の出血性病変(潰瘍や腫瘍)
 ・赤い便 小腸・大腸の出血性病変や感染症
 ・白い便 肝機能障害(黄疽など)
 ・緑の便 消化不良

 ということで拭いた後の紙は必ず見て、便の色と柔らかさを確認しましょうね。血が出るまで拭き取れとは言いませんが。え、便の色なんてパンツ見たらわかる? でもパンツに穴があいていたら汚いでしょ。
 オチではないですが、昔「パンツの穴」という映画がありましたね。菊池桃子が初主演したはずです。パンツの穴という映画だから「桃尻の菊穴」にひっかけて芸名をつけたんだと言ったヤツがいましたが(ってオレのことか)。

 

ホームページへ      Eメール