悪魔の穴


 タイトルだけを見るといったい何かとお思いでしょうが、非常に危険と思いましたので、ここで紹介させていただきます。
 まずこの写真をご覧ください。

 よく見るエラスタ針です。
 キャップをはずし、皮膚につきさし、
静脈内に入れば、内針を抜いて、
外筒だけを留置します。
 几帳面な人は内針をカバーに入れますよね(リキャップ=左図では右の状態)。
 リキャップは針刺し事故の第一の原因ですが、
キャップをしないと今度は焼却場へ持っていく過程での
事故が起きる可能性があります。
 ではこのキャップの先をよぉくご覧ください。
 おそろしいことに穴があいており、
内針を奥まで差し込むと、その先から
今使ったばかりの(血塗られた)針が飛び出す
のです。
 わたしはこれでこの前、B型肝炎の患者に使った針でしこたま手のひらを刺しました。痛かったですよぉ。
 ところでこの穴って悪意を感じませんか?
 いったい何の必要があって開いているのでしょう。


 で、下がこの針のパッケージです。この針は使わないようにした方がいいと思います。いくら安いか知りませんが、これで肝炎やエイズをうつされてはたまりません。

 
輸入販売元:日本ベクトン・デッキンソン(株)

補足1
 これより小さなサイズの針や同じ太さでも短い針があり、これらはキャップの先から針は出ません。安心してお使いください。
補足2
 現在上の「インサイトW-20」は色が緑から赤ラベルに変わっており、上記の不都合を改善したのかと思いましたが、直っていません。パイプの材質変更がなされたようで、留置の際の失敗は少なくなりました。

後日談

 平成10年1月某日、この会社の極東の副社長をはじめお偉方が三人わざわざ大津まで来られ、説明されて行かれました。キャップ先端の穴は製造上の理由および滅菌ガスが行き渡るようにわざと開けてあるそうです。しかし上記の不都合はなるべく善処するとのことです。ただし、変更は認可を要するためにすぐにはなされないので、もう少し短い針を使用するか、針刺し事故防止用の針(バネで針が引っ込む・・・定価で80円しか変わらないそう)を使用して欲しいとのことでした。なかなか誠意のある会社のようです。


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