膀胱癌(続き)

先ほどの拡大像。

膀胱癌の解説

移行上皮癌のほかに、扁平上皮癌や腺癌がある。
扁平上皮癌は移行上皮の扁平上皮化生部から発生し、周辺への進展傾向強く、予後悪い。
表在性のものが7割で、浸潤性のものが3割。
膀胱温存例のうち5年内再発率は6割程度。
このうち表在性のものが浸潤性にステージアップするものが2割と言われる。
膀胱壁のび漫性肥厚として見られることがある。正常膀胱壁の厚みは約2mm。
TURの炎症性変化にて膀胱壁の肥厚が起こることがあり、再発と鑑別すべきである。

CIS(TIS)は乳頭状の発育を示す型と、壁内を浸潤性に増殖する型があり、
特に後者は早期に浸潤癌になる確率がきわめて高いため、早期癌とは言えない。
全摘が望ましい。BCG注入にて経過観察することもある。
CISは細胞間結合が弱く、尿細胞診が陽性になりやすい。
しかし、膀胱鏡では随伴する炎症所見が見られるのみのことが多い。

尿管は膀胱壁を貫く部位にて膀胱筋層より低エコーに見える。
膀胱癌がこの部位に発生することが多く、この低エコーとつながって見え、浸潤度を読みすぎることがある。
MRIではT2強調画像での低信号を示す膀胱壁が断裂していればT3a(B2)以上である。
膀胱壁内に高信号が見られることがあるが、その外側の低信号が保たれていればT2(B1)以内である。
なお、膀胱壁内の高信号は浮腫・炎症・欝滞などで生じる(照射後・術後に多い)。

T3a以上(T2でもgradeIIIのものも含む)のものは全摘がなされる。
化学療法(CDDP、5FU)と放射線の併用により、膀胱を温存できる例も増加している。
BCGの膀胱内注入療法も行われることあり。

放射線膀胱炎の発生防止のためには水分の十分な補給が必要。

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