遠隔医療



 遠隔医療とは一般的には医療情報(患者の状態・カルテ・病理標本・診療用画像)をある通信手段で異なる医療機関に送ることです。

 通信手段としては以前は専用回線を使うものが多かったのですが、最近はインターネットがよく利用されるようになってきました。セキュリティもVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を使えばかなり高められます。
 また、通常の電話回線・FAX や ISDN でのデータ転送も利用されています。

 ここでは単純レントゲン写真やCT・MRIなどの診療用画像を送ること(遠隔画像診断)に限定して簡単に整理してみましょう。

 

画像電送(専用線)

画像電送(インターネット)

フィルム運送

説明

専用線でDICOMデータまたは圧縮画像・参照画像を送る

インターネットでDICOMデータまたは圧縮画像・参照画像を送る

焼いたフィルムを容器(箱)に入れて運送する

初期コスト

数百万円(以上)

数十万円程度

ほとんど0

ランニングコスト(毎月)

5万円以上(通信費用のみ)
メンテナンス料は別

形態によりさまざま(最低は500円くらい)
通信費は数千円〜数万円/月
メンテナンス料は別

回数による(送料は1回1000円程度)

安全性

中(方式により高められる)

所要時間

数秒〜数分

数秒〜数分(専用線より速い)

数日

長所

大量のデータを無選別に送るのに適する

最近は標準医用規格のDICOMデータをパソコンで扱えるので、送られる相手は普通のパソコンを扱えばいい

デジタル化しないので情報量の欠落は皆無

短所

送る相手も専用の設備が必要

とくになし

時間のロスが大きい
運送途中での紛失などの危険がある

 専用線を使用する形態のものは高価なためもはやなくなりつつあります。

 安価で高速なインターネット(ADSL・CATV・FTTH)が主流となってきています。

 ISDN によるデータ転送も遅いのですが、まだよく使われています。ISDN  によるインターネット接続でなく ISDN 独自のピアトゥーピアでのデータ転送モードを使います。データの安全性は専用線にほぼ匹敵しますが、遅いので大量のデータを送るのにかなりの時間が必要です。64or128kbps ですから ADSL によるインターネット回線に比べ速度は2ケタほど落ちます。それに価格は固定料金でなく従量制ですから、通信費用は容易に月数万円〜それ以上となることが多いです。

 フィルム運送は主に個人の診断医が行っているようです。フィルム返送も宅配便で行います。


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