第2章 〜使用機種と使用コイル〜


 当院の MRI機器は Philips 社 Gyroscan ACS-NT 1.5T であり、この5月にグラディエントオプションが PowerTrack1000 から PowerTrack6000 にバージョンアップされた。slew rate は 122mT/m/msec とかなり高い。Philips 社は早くからコンパクトなマグネットを使用しており、磁場均一性はきわめて高いのが特長である。そのため、周波数選択型の脂肪抑制効果が広く均一に得られる。

 脊髄用の受信コイルは、長方形のコイルを5つ縦に連結した Synergy-Spine coil で、同時受信はできないが、 phase array type である。複数のコイルからの画像を合成できるため、任意のコイルの組み合わせで撮像が可能であり、検査対象が変わっても検査途中でコイルを動かす必要はない。コイル全体の視野は 78cm あるが、現在は FOV はそのうち連続する 45cm までしか選択できない仕様になっている。それぞれのコイルは 1024×1024 マトリックスまでの撮像が可能で、4つのコイルを同時に使用した場合は 1024×4096 マトリックスの画像(縦横比= 4:1)が得られる。

 この画像は Th8 レベルの髄内に生じた血管芽細胞腫の症例。この腫瘍は血流に富み、小さな腫瘍の割に広範な空洞症が生じることが多い。
 FOV=450mm で 512×2048 マトリックスの撮像で、左から FSE-T2WI、SE-T1WI、造影後 T1WI である。
 撮像時間はそれぞれ、10:20、12:28、12:28 となっている。

 <画像をクリックすると拡大画像が表示される>


目次