西村由紀江
明日のために
西村由紀江がデビュー作『アンジェリック』を発表したのは1986年のこと。以来、コンスタントにアルバムを発表していて、これは通算では24枚目となる作品。ここ数年、癒し系とかヒーリング・ミュージックといった言葉をよく耳にするけど、この人はデビュー以降、一貫して心に優しいピアノ・ミュージックを演奏し続けていて、まさにその道の第一人者といってもいい。 全12曲入り。半分はソロ・ピアノで、残り半分はオカリナ、チェロ、ハープ、胡弓、ストリングスなどとの共演。曲はラストの(ドビュッシー)以外はすべてオリジナル。どこか懐かしい感じのするメロディを淡々と弾いていて、思わず郷愁を誘われる。この人のピアノを聴いていると心が洗われる、素直な気持ちになれるという人が多いようだけど、それは彼女の優しさがそのまま音楽に反映しているからだろう。どの曲もゆったりとしたテンポで演奏している。横文字が氾濫(はんらん)する中、タイトルも曲名もすべて日本語というのは、かえって新鮮だったりするから不思議だ。(市川正二)