05.12.05(月) 

 


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    ◆顔面神経と耳下腺の関係
     この前、唾液腺腫瘍の講演会に行きました。
     唾液腺とは耳下腺、顎下腺、舌下腺、その他の小唾液腺とありますが、一番大きな耳下腺とはオタフクカゼ(ムンプス)のときに腫れるアレで最大の唾液腺です。豊富な脂肪を含んでおります。そして顔面の表情筋を支配する顔面神経の本幹はこの中を通っています。
    神経(顔面神経)と外分泌組織(唾液腺)はそもそも発生が違うのです。どうしてドッキングしたのでしょうか
     唾液分布を司るのなら近くを走って唾液腺にそれ専用の分枝を送ればよい(現実に表情筋の1つ1つにそうしている)だけなのに、わざわざ耳下腺の真ん中を走るのはなぜか。しかも耳下腺の自律神経支配は顔面神経とは別の神経(顔面神経より細い舌咽神経)なのです。耳鼻科医が唾液腺腫瘍の手術をするときに顔面神経を傷つけることがあり(事故後のビートたけしのように顔の半分に表情がなくなります)、こんなところをわざわざなぜ走っているのと叫びたくなった医師はたくさんいるでしょう。
     そう思っていました。ちょうど横に座っていた優秀な後輩のS先生にもぼやきましたが、怪訝な顔をされました。でも私なりに解答を見つけました(見つけた気がするだけかもしれませんが)。
     ここからは私の仮説です。
     人間が集団生活をし始めたときは言語がなく、今のニホンザルと同様に表情とボディランゲージが重要だったはずです。食物あるいは色恋沙汰のトラブルも日に何回もあったでしょう。とっくみあいの喧嘩はしょっちゅうだったはずです。狩でも野生動物の必死の抵抗による顔面の怪我は頻回だったことでしょう。もし、顔面神経本幹が傷つきやすいところを走っていれば、その個体は顔の半分に表情がなくなり、以後仲間とのコミュニケーションがとれなくなり、仲間(特に異性)からも嫌われて子孫を残せなくなる確率が増えます。
    ブアイソ、いや顔の半分だけ無表情なのでブキミなオスがメスにもてるワケがないですね。ですから自然に淘汰されていったものと考えます。
     厚い脂肪のクッションを有する耳下腺を顔面神経の保護に使う突然変異種だけが生き残ってきたと考えるのは単なる幻想でしょうか。



 

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