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◆読書
「かぶき大名」(海音寺潮五郎;文藝春秋)
短編集です。収録された「乞食大名」は最上家の家老であった鮭延越前の話。この人のことは今まで聞いたことがないです。
当主の罪を幕府に申し立て、こんな馬鹿殿様がこのまま当主に居座るのならいっそお家を断絶してくれと言い放った人物です。
このおかげで最上家(伊達正宗の母も最上家の出身でしたね)は廃絶するわけで、この人物は京都に出て河原乞食をします。たくさんの家来も彼に従い、まるで大名のようだったということです。
最後は土井家に仕え、賜った5000石を20人の家来に分割し、自分は屋敷を持たずに20人の家を渡り歩いたという変わり者です。貧窮の時期を支えた家来たちに報いたのか、それとも表面は武士に戻っても心の底まで乞食から武士に戻りきれなかったのか。
海音寺さんは面白い人を紹介してくれたものです。
とは言っても・・
富豪から一転路上生活者に。また巻き返して大金を稼いだ人が書いた本も書店に並んでいますので、今昔問わず結構いるのかもしれませんね。