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セキは薬でなんとかおさまっていますが、きれるとあきまへん。
「梅雨将軍信長」(新田次郎;新潮文庫)。
新田氏の歴史作品を扱った短編集です。
蘇我蝦夷が室屋麻向(むろやのまむか)を使って日本最初の時計である漏刻を作った話「時の日」、世界で最初に滑空飛行に成功した備考堂幸吉を扱った「鳥人伝」、江戸時代の数学を題材にした「算士秘伝」および「二十一万石の数学者」などの歴史小説&科学小説(歴史科学小説?)が面白いです。
大津には天智天皇を祭った近江神宮があり、そこで毎年6月10日の「時の日」を記念した行事が行われます。以前この神宮の「時の日」クイズに応募した私は見事当選しましたが、商品は漏刻の模型ではなく普通の目覚まし時計でした。もう二度と応募するもんか。
閑話休題。最初に時計を作らせたのは天智天皇のはずですが、この「時の日」という短編では蝦夷と入鹿が作らせたことになっています。実際はどちらだったのでしょうか。この時代・国に限らず「時」を支配するのが支配者(天皇)ということに決まっているようで、天皇を脅かせたいと謀る大豪族は時計を自分で作りたがったでしょうね。暦と年号とを司るのは日本では天皇家、中国でも皇帝と相場が決まっています。そういえば織田信長が年号を変えようとしたとき朝廷は絶対に許しませんでしたし、三国志でも孫権が皇帝を称して呉(呉漢)を建てたときに初めて独自の年号を使っています。劉備も同じですね。年号を変えていいのは皇帝のみですが、逆に皇帝になったら何が何でも新年号を選定しないといけないわけですね。入鹿は先にトキを支配してから次は皇位という企みだったわけで、中大兄皇子はそのため非常に警戒心を抱いたという話になっています。
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