「北条綱成」(江宮隆之;PHP文庫)
北条氏の「五備え」では、「黄備え」を担当する猛将。朽葉色(黄色)の練貫に『八幡』と墨書した旗が指物で、そのため彼を『地黄八幡』と呼んでいたそうな。漢方薬につけたらよく効きそうな名前ですね。
もちろん八幡信仰も篤い人だったのでしょう。
北条氏康の弟、為昌の養子となり、為昌の死後、玉縄城主となったりして、家臣でありながら一族の要であったようです。
日本史で最も兵力の差のある戦い、しかも少数派が大群をさんざん打ち負かしたことで有名な、川越の戦い(1546年上杉軍と;攻城軍八万対守勢三千)でも、川越城主として半年も籠城戦を耐え抜き、味方に大勝利をもたらした、すごい武将です。
ただのイノシシ武者ではなかったのですね。
あの陰謀渦巻く戦国時代で、しかも一族の血縁を最も大事にした後北条氏に他家から入って成功するとは。文武両道、人徳抜群のすごい人物だと思いました。