初心者の画像診断と達人の画像診断はどこが違うのか?
ちょっと考えてみました。おそらく次のような感じではないでしょうか。
将棋の棋士が何手も先を読むように、達人の読影はあらかじめ出てくるはずの画像を予想しているので、それと違った部分にすぐに目が行くのだと思います。
初心者は見えた画像から異常を探すのですが、達人には異常部分が違和感として感じられます。高速ページングでパラパラ画像を見て違和感がなければ、じっくり見てもやはり何も異常がないことが多いですね。
初心者は見えた物から一生懸命異常を探すので、見えなかったものには気づきません。臓器が欠損していたりすると、案外そのことに気がつかないのです。
達人は違和感(気配と言っていいでしょう)ですぐに気がつきます。
以前はフィルムで診断していたのですが、カンファレンスなどで達人がたくさん集まるところだと、フィルムをシャウカステンにかけた瞬間に、達人の多くは「ああ」とか「なるほど」とか口ずさみます。これも「正常者のフィルムはこういうもんだ」と予測しているからなんでしょう。
達人は「異常所見の方から目に飛び込んでくるんだよ」と言いますよね。
ただ、最近の若い人は、もはやフィルムで診断していない人が多いので、相当の熟練者でも、フィルムの場合だけ初心者と同じように1コマ1コマ異常を探すようですね。