Answer of Case 1 (頭蓋内動静脈瘻)
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写真1(単純CT) |
写真2(造影CT) |
写真3(同:第一頸椎レベル) |
問題で提示した写真での所見は、大脳深部静脈の拡張と上矢状洞の著明な拡張です。
ここには提示していない他のスライスでも、頭蓋内のほぼすべての静脈が拡張しています。詳細は不明ですが、この患者は平成6年ごろ他院でアンギオを受け、「頭蓋内動静脈瘻で治療はきわめて困難」と言われたようです。静脈すべてが拡張していること、IC・BA・MCA・ACA・PCAなどの主要な脳動脈にはほとんど拡張がないことから、硬膜AVM(とくにAVFタイプ)の可能性が高いと思われますが、当院ではアンギオはしていません。
写真1(単純CT)のみでは大脳鎌が肥厚してあたかも髄膜腫のように見えるのがおもしろいと思います。実際、この時点では髄膜腫と誤診されていました。写真2(造影CT)とMRIでわかりますが、これ全部が拡張した硬膜静脈洞です。単純CTをもう一度見ると、第三脳室や左シルビウス裂表面に拡張した血管構造が存在するのが疑われますが、ちょっとこれだけでは・・・
写真3で頭蓋外にも拡張した多数の血管が蛇行しているのが見られます。これは頭蓋内静脈洞からの血流を受ける頸部の静脈群なのでしょう。シャントにより脳血流がだいぶ増加していることを示唆しています。ただ、これは頸部にもAVFがある可能性を示唆しているのかもしれません。つまり全身の血管腫症(Osler-Rendu-Weber
症候群や Klippel-Trenaunay-Weber 症候群)の可能性もあるのではないかと私は危惧しているのですが。
皆様のご意見をお聞かせください。