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昔、とある田舎の病院に内科医として勤務していたころの話・・・ 高齢者の方はとかく心不全という病気(というか病態)が多いのですが、彼らが悪くなるのは月曜日の午前中が多いような気がしました。 さて、これがなぜ月曜日に多いかです。心臓喘息つまり心不全を防ぐために患者は強心剤や利尿剤を服用しています。弱っている心臓にムチうつ強心剤は重症の心不全の患者にはかなりこたえますし、腎の排泄能力を高める利尿剤の方がより安全ですので、両者を併用するわけです。利尿剤は心臓に負担をかけませんのでいろいろな段階の心不全患者に広く使われています。利尿剤をのむと当然尿量が増えます。つまり、しょっちゅう排尿しなくてはいけなくなります。 ここでわかる人はスルドイですが、月曜日に悪くなる人はだいたいその前の日にバス旅行をした人なんですね。こうした旅行はパック旅行で、当然団体旅行です。だからバスが多いわけです。長時間のバスではそうたびたびトイレには行けません。同乗者に悪いですしね。そこで、患者は旅行中は利尿剤を服用しないようにするわけです。 寝ると足と心臓が同じ高さになります。すると、下半身の皮下にたまっていたかなりの水分がリンパ管を経て、血管内に帰ってきます。こうして血管内水分の増えた患者さんは寝ている間に急速に心不全が進行します。肺での換気が障害されると血中の酸素も低下し脳の働きが悪くなります。いわゆる朦朧状態になり、このため気づく、つまりめざめることが遅れます。翌朝家族が顔がどす黒くなった意識不明の瀕死の患者を発見するまで、放置されることになるわけです。 教訓: 土日曜 バスで旅行は 極楽だ ああ本当ね 月は天国へ |
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