救急(メディカル憩室その3)

 

 


 救急外来とは「急を救う」外来の意味であり、ただの夜間外来ではありません。「急」とはもちろん急病(ケガを含む)のことであり、慢性疾患の急性増悪も含まれます。しつこいようですが救急外来は夜間に開いている診療室ではありません。大晦日に「以前健診で蛋白尿が出たことがあるんですが、調べてほしい」といって受診するなどもってのほかです。それは急病ではないのですから、通常の診療日に来てください。

 救急車とは「急を救う」車の意味であり、ただの通院用の車ではありません。「急」とはもちろん急病(ケガを含む)のことであり、慢性疾患の急性増悪も含まれます。しつこいようですが救急車はタクシーではありません。熱が高くて病院に行けないくらいで呼んでは常識を疑われます。そういうときはタクシーを使うのが常識です。
 発熱くらい(たいがいただのカゼ)で救急車が発動していては、1日に何回出動しなくてはいけないかくらいわかりますね。え、わからない? 1人が年に3回発熱するとしましょう。全ての場合に救急車を呼ぶとすると、122人の人口あたり1日1回救急車が出動することになり、人口120万人の都市では1日に1万回になるのです。東京なら1日10万回(0.8秒に1回)。救急車が何台必要になるかわかりますか。

 本当に死にそうな患者が使わなくてはならないときに単なるカゼひきを病院に運んでいるようでは救急車の使命はまず果せません。そういえば歯が痛いと言って救急車に乗ってきたヤツもいましたが、マネは絶対にしないでくださいね。
 こういった事例は常識のない若いニイチャンが多く、

「オレ死にそうな熱が出て、救急車乗ったことあるゼ」


と言ってのちに誇らしげに仲間に吹聴するものですから、マネをする馬鹿者があとをたちません。そういっているヤツがいたら非常識さを笑いましょう。

 ちなみに誰がいつどのような要件で救急車を呼んだかは消防署で全て記録されています。軽症の人や急病でない人が利用した場合を有料化するための資料かどうかわかりませんが、軽症か重症かも医師の意見として記録されています。
 「不正」使用は利用者の氏名とともに残るというわけです。

   教訓: 注意一秒、恥一生


 

 

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