聴診の話(メディカル憩室その13)

 


 聴診とは聴診器を胸や腹にあてて、聞こえる音から病気の有無・種類を診断するものです。胸では心音・呼吸音を、腹では腸音を聴くわけです。聴診で異常があると胸のレントゲンを撮ったり、心電図を取ったりするわけです。簡単ですが決してあなどれない診察法です。

 心臓の音は胸の中央および少し左右に離れた部位で聴きます。心臓の構造上、聴取する部位がいくつか決まっています。つまり、左心室の音、大動脈弁の音、大動脈の音などを部位により聞き分けるのです。
 呼吸音は全肺野の肺胞の音、中央に近い部位での気管支の音などが重要です。
 腸音では腸は腹全体に広がっており聴取する部位はあまり重要視されませんので、その頻度と強さ・性状が問題となります。主に腸閉塞でないかどうかを聞き取るわけです。

 さて、胸に聴診器を当ててこちらが小さな音に気を集中していると、そこで大声でしゃべるアホウ(関東の方はバカと読み替えてください)がいます。
 聴診器は小さな音を聞き取るように作られた一種の増幅器です(医師の使っているものは普通2〜5万円します。夜店で売っている子供のおもちゃのようなチャチなものではありません)。
 大きな声を出すとこちらの耳がヘンになり診察のジャマをすることになることに気が回らないのでしょうか。微細な呼吸音や心音の異常を聞きとろうとしているこちらの努力をないがしろにする心ない行為です。こうした患者にはちょっとムッときますね。^^;

 次に困るのが深呼吸をしてくださいと言うと大きな口を開けてこちらの顔面に息を大量に吹きつける人です。だいたいこういう患者(様?)に限って、息がクサイのです。ヤニでコーティングされた虫歯だらけの口ではひどい口臭なのは当たり前ですが、夜はこれにアルコールやニンニクが加わっていたりします。腸閉塞ではウンコのニオイまで混じっていますが。
 品のイイ患者様は顔を横に向けたりハンカチを口に当てたりして、口臭をなるべく相手にはかがせないように気を使うものです。
 育ちがこうしたことから知れます。

 最後に困るのが非常にバスト(だけとは限らない)の大きな女性。女性とは限りませんが。^^; ブアツイ脂肪を通して小さな音を聞くのはほんと難しいものです。特に聴診器がメリコんでしまうような方には。

 以前、電池式の聴診器というものを考えました。
 ウォークマン(でなくてもいが)に繋いで胸にあてたマイクからの音を増幅して録音する簡単なものですが、心音や呼吸音の自己診断機能がついているというもの。
 録音することによって医師の技量に左右されない客観的な記録が残ります。

 いまは聴心器というものを考えています。相手の考えていることがわかるやつ。胸に当てるだけで患者が何を考えているか、あるいは何を隠しているかがわかるといいですね。

アーン、ドラエモン、なんとかしてくれよぉ〜。  


 

 

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