保険点数の改正により、「画像診断を専らにする常勤医師」がいれば読影料に加算がつくようになりました。1件あたり
480円で、なかなかばかになりません。画像診断医がいると他にも次のようないいことがあります。
1 高額の医療装置(CT・MRなど)をフルに稼働できる
2 撮った画像を最大限活用できる(他のモダリティの画像と有機的に組み合わせて判断する)
3 主治医の勘違い(暴走)を防げる
1は無駄な検査を制限し予定スケジュールにのっとった能率的な運営ができるのはもちろんですが、検査数が増えるのです。なぜなら、主治医は自分の専門以外の病気についても、他の科に紹介する手間なしに、CTやMRを撮像してもその読影に際しての専門的意見が聞けるので、どしどし検査をオーダーするようになるからです。逆に読影専門医がいないと自分のよく知っている(読影できる)疾患の対象例しか検査に出さないものですから検査数はちっとも伸びません(脳外科医が腹部や胸部のCTをオーダーしますか?) ちなみに当院のCT装置は2台ありますが1台あたり1日40万円を稼いでいます。1年の稼働日数を
220日としても1年以内に購入価格を軽く超えます。
2は以前の全てのフィルムを今回の読影に活用することができますし、いくつかの鑑別疾患を絞りこむために次にするべき検査を示唆できます。
3はアーチファクトにだまされた主治医が、余分なそして誤った検査をすることを防げるということです。これにより治療が速やかに開始でき、平均在院日数が短縮されてベッドの回転はよくなり、病院の評判はよくなります。そして訴訟のネタが減少します。
ということで常勤放射線科医のいない病院にも画像診断医を雇っていただきたいのですが、どうせなら名ばかりでなくホンモノの「画像診断医」を雇いましょう。ベストの方法は、多少遠くても優秀な人のそろっていそうな大学から安定供給を得ることですが、よほどのコネがないとまず無理です。次善の策は最寄りの大学の医局に頼むことですが、大学によっては画像診断のできない人(研究バカ?)ばかりが医局に残っているところもありますので注意が必要です。近くの大学があまり実力のない場合はそのへんの対応が難しいですが、これ見よがしに無視できない「地域の事情」ってものもありますしね。
ところが大学も人手不足でなかなか供給してくれないこともあるでしょう。よもや来てくれたとしても、病院側としても常勤医を雇うのは厚生費などでよけいなオカネがかかりますしね。