How to make the 4.5 generation CT scanner

0.3秒CTスキャナの作り方(その2)


◆改良点

 前回お話ししたスキャナにはいくつか問題があります。まず、コストの点です。3つの管球に3つの検出器ですから、ばかになりません。また、この3つの管球の軸をきちんと合わさないと画質が劣化する点。そして、対になる管球以外の2つの管球から発生するX線に起因する散乱線などです。

◆問題点1:コスト

 コストがかかるのはしょうがないです。管球や検出器を安くで売ってくれる殊勝なメーカーがいきなり出現すれば別ですが。そこで発送の転換をします。値段はしょうがない、質を上げましょうと。検出器は多チャンネルであり、結構幅がありますので、3つも並べればリング上で 360度近い取りつけスペースを要します。そこでこれを回転するリングから追い出して、リングの外側に、回転しない定置リングの上に並べます。要するに管球だけが回転して検出器は不動という第4世代CTに似た構造になります。これを4世代+αということで、4.5世代CTと呼ばせていただきます。これでリングは軽くなり回転速度の低下もあまりありません。検出器を回転させないことにより多少ですがコストは低減します。第4世代CTならリングは軽いので、0.6秒回転が可能です。ゆえに1スライス(120度)0.2秒のスキャンが理論上は可能です。秒5スライス!

◆問題点2:散乱線

 最大の問題は散乱線です。なにしろ近くにノイズ発生源の管球が2つもできるのですから。これらからの3倍のビームの生み出す散乱線は無視できない影響を画像に及ぼすでしょう。

 ただし、他の2つ(これを非ペアーと呼びましょう)の管球は左右前方120度の位置にあって、被写体にあててその散乱をこの管球に及ぼすためには散乱線は入射角度に対して鋭角に曲がらなくてはいけません。コンプトン散乱ではこのようなことは少なく、したがって問題になる散乱線は、2回以上散乱したものがほとんどで、エネルギーは小さくなっているはずです。そこで検出器にエネルギー弁別をさせれば、散乱線はかなり低減できると思われます(感度は低下しますが)。

 もう一つ考えている散乱線低減の方法は、パルス照射を利用する方法です。詳しくは述べませんが、非ペアーの管球から来る散乱線だけを計測することが可能になります。興味がおありならメールで問い合わせください。

おわりに

 上の説明をきいて、秒5スライスのCTができればいいなと思われた方は、どんどんメーカーに要望を出してください。たくさんつくれば安くなるのは世の常ですもんね。要望が多いときっとイロ気を出すところが出てきます。がんばりましょう!!


前へ ホームページへ   Eメール