創作〜南茶帝大学医学部 第2章 (メディカル憩室その19)
創作です。文章中のいかなる人物・組織も実在はしません。
(続き)
ある大都市の郊外のベッドタウンに南茶帝(なんちゃってぃ)大学医学部とその大学病院ができてしまいました。
病院はいいとしても、大学が三流私大ですので、学生の教育が最も重要課題です。
なにせ高校で落ちこぼれている開業医のバカムスコを救済するのが目的の医大ですので、寄付金、授業料、●口入学金はドーンと取れます。
でもこいつらをなんとか医者にしなくてはいけません。
その前に一人前の人間にしないといけないというツッコミは置いておいて。
一人前の医者にするのは無理でも、たった1回、まぐれでもいいから国家試験に通ればいいのです。
しかし、難題ですね。
勉強をまともにしたことのないバカもいますし、異性と仲良くなることしか考えていないバカもたくさんいます。
なにせこの両バカの数をたせば 170人。100人であるはずの入学者の数を超えてしまうのですから。
そこで、最初の2年は高校の勉強からたたきなおします。
6年間試験、試験、試験で締めつけます。
さすがの種馬たちも勉強をやらないと親からの仕送り(平均月50万円)を差し止められるということがわかり、一生懸命、生まれて初めて真剣に勉強します。
でも国家試験には落ちます。いやというほど落ちます。惨敗。
そこでわれらが理事長、考えます。
バカばかり集めるからいかんのだ。カネを払ってくれるならもう少しまともな学生も取りたいよな。
そこで医学受験雑誌を出している会社にカネを渡し、自分ところの大学入試合格者の偏差値を実際より高く掲載してもらいます。
急によくなるとばれるので、1年に 0.8〜1.2 くらいずつ徐々に上げてもらうのです。
3年くらいすると受験生は南茶帝大学医学部のランクがだんだん上がっていることに気づきます。
これはレベルが上がっているのでは!! ←ウソダッピョ
しかし、10年くらいたつと、55前後だった偏差値が 65近くに達し、ホントウに優秀な学生が入ってくるようになるからアーラ不思議。
バカムスコどもは当然裏から入るわけで、その分偏差値 63以上の学生でもワリをくって入学できないとか。
こうしてナンチャッテ大学はますます評価が上がります。
偏差値 63 でも入れなかった・・・
なんて難しい大学だ!!
医師国家試験の合格率を上げる方法も考えます。
こいつは天地逆さまになっても絶対に受からないと思うバカ学生は卒業させないことにしています(あまりに見込みがないのは「家庭の都合で自主退学」)し、浪人生は徹底的にしごきぬきます。
もちろん特別授業料は別にいただきます。
おまえら、1年医者になるのが遅れたら医者としての人生最後の1年間の年収が
まるまるもらえないことになるんだぞ・・・いったい何千万円の損失じゃぁ!
こう言われるとさすがにどんなバカムスコでも必死になります。
これで次第にいい学生が来るようになり、あまり操作しなくても医師国家試験の合格率も上がってくるでしょう。
理事長はほっとします。わが世の春じゃぁ。
ところが、一人のある新人教授が旋風を巻き起こします・・・・・・
(続く)