創作〜南茶帝大学医学部 第3章 (メディカル憩室その20)
創作です。文章中のいかなる人物・組織も実在はしません。
(続き)
ある科に新しく教授が赴任して来たのですが、彼は今までの教授たちとは別の旧帝大系で、いわゆる研究バカの一面がありました。
医局員に論文を書かせて、一番最後に自分の名前を載せるのが教授(旧帝大系)の一つの習性となっています。
自分が全然ノータッチの研究でも、研究費なんかちっとも与えていなくても、自分がその研究チームを指揮したように名前を載せるのが当たり前の世界にこれまでずっと住んでいたのです。
そこで、もとからいた医局員を叱咤激励、バカ呼ばわりして研究をやらせようとしますが、医局員は病院側(つまり理事長)からは必死で働け、学生を丁寧に教育しろ、患者様に奉仕しろと言われており、研究なんてそんな優雅なヒマはありません。
そんな医局員の苦境も知らずに、この教授、医局員はどいつもこいつも勉強せん、学生もバカばかりと放言するようになります。
学生相手の講義でも医学の進歩のために立派な研究をするのが大事と高邁な思想を披露します。
すると理事長のところに学生の親(複数)から苦情が。
うちのムスコは医者にするためにおたくに入れた。
もしカネにもならない研究なんかにムスコが
ウツツをぬかしたらどうしてくれるんだ。
いぶかった理事長、調べてみると勘違いした教授がいることを発見。当然譴責します。
しかられた教授はなにがなんだかわからない。
大学病院は研究してナンボだろ。
誰かがウソの報告をしてちくりよったのかな、と考えました。
医局員の誰かか・・・でもあの調子だとやっぱり学生か。
コノウラミハラサデオクベキカ・・・
このときからポリクリでも教授の学生いじめがエスカレートします。
最初はしかられて当然という者に対してのみでしたが、途中から見境なしに・・・
このバカもんが!!そんなことも知らんのか!!
学生がなにも知らないのは世のツネです。
知っていたらそもそも教師など不要。
理事長からすると開業医の子弟である学生は大学の一番のカネヅルいや大事な大事なお客様です。
その次に患者様ですね。カネをくれる人は神様です。
反面、こちらからカネをやっているものは教授であってもただの使用人。
その使用人にすぎない一教授が複数の学生様に暴言を吐いたのです。
教授なんて安い給料でいくらでも替えがききますが、学生様に途中でやめられたりすると年間何千万円かの利益がフイになるのです。
飼い犬がお客様を噛んだら、その犬はオリに入れられるか、へたをすると薬殺されてしまいますよね。
その後、その教授がどうなったかは医局員をふくめて誰も知りません。
もちろんわれらが理事長はすべてを知っています。
当人たるその教授も知っているはずです(もし生きていればの話ですが)・・・・・
(続くかどうかは不明)