タバコの害(メディカル憩室その5)
またこのネタかと、お叱りを受けそうですが、どうも一般に言われているタバコの悪影響についてあまり実感がわかない方が多いようです。病院にはそれらの最悪に近いケースが集りますので、普段から身に沁みて感じさせられています。これらの事例を反面教師として紹介することは意味のあることかもしれないと思い、不謹慎ですが、以下自分が見聞したタバコの悪弊を並べてみました。私は吸わないので、私の体験じゃないぞ。
- 口が臭くなる。
- 女の子とホテルに行き、キスしたらタバコ臭いと言われて逃げられる。
- 絶えず痰を吐き散らかしているので、人事考査にひっかかりなかなか昇進できない。
- 咽頭粘膜が荒廃しているので、すぐに風邪をひく。
- 風邪をひいてセキで苦しんでいる人のそばで無遠慮に毒ガスをふきかけ、友人をなくす。
- 服が臭くなる。でも本人はへいちゃらだ。
- 髪が臭くなる。何を気にすることがあろう。
- 毛母細胞に行く血流が減ったため、髪の毛が抜けても生えてこない。
- 皮膚に行く血流が減ったため、肌が荒れる。対策に高級クリームを買ったので、おこづかいが減る。
- 四肢に行く血流が減ったため先端から腐ってくる。足は膝で切断。手は指が毎年1本の割で切断されていく。がんばれ、ドラエモンまであと少しだ。
- 胃が荒れる。ゲップ。オエオエオエオエ。やっぱり口が臭い。
- 歯がヤニでコートされ、雑菌のすみかとなる。いくらいい歯ブラシで磨いても意味がない。
- 胃癌になって手術されるが、再発したため食べられない。見舞いの人はみんなおいしそうなメロンを持ってくるが、眺めるだけの人生さ。
点滴を24時間つないでやがて幽鬼のようにやせ細って死ぬ。メロンガクイタカッタ・・・ - 食道癌になって手術されるが、術後縫合不全から縦隔炎をきたし、肺炎・膿胸を合併し、高熱を発したまま呼吸不全で死ぬ。モットクウキヲ!
- 喉頭癌になって喉頭を切除。喉に大きな穴が開き、ゲップのような声になりながらも生還したと喜ぶ。
でもやっぱりリンパ節転移で再発し、それが上大静脈を圧迫して顔がうっ血し、脳循環が阻害され、たえず首を絞められたような窒息感のうち、意識朦朧となり心臓が停止する。死に顔はむくんでドス黒く、限りなく醜い。 - 味覚が麻痺するので、美味いものを食べに行ってもオカネの無駄になる。開き直って安くてまずいものばかりを食うが、消化不良と食中毒で体をこわす。
- 家族と食事をしても先に食べ終わって一服すると、他の家族から味がわからなくなるから外で吸えと言われる。
最近はかわいい愛娘にお父さんとはいっしょに食事をしたくないと言われている。 - 舌癌になり舌切り雀の境遇を味わう。舌がないためモノを飲み込むときはニワトリのように上を向かざるをえない。味覚はないが匂いだけでも、と入ったレストランで、あなたのマナーは他のお客様の気分を害すると言われて叩き出される。
- 口腔癌になり片方の頬がなくなる。ガーゼを取ると上下の歯がむき出しになり、歩く解剖図、あるいは秘宝館の世界。気味が悪いので配偶者に逃げられる。
- 肺癌になる。手術をする。放射線をあてる。それでも治らず、骨に転移する。むき出しの骨に釘を打ち込まれるような激痛が24時間襲い、夜も寝られずフラフラになる。痛みを抑えるためモルヒネづけとなり、さらに意識朦朧となる。自分がいつ死んだのかわからない。
そのためか亡くなった病室で夜な夜な声が聞こえる。お願いだから早く成仏してこの部屋から出て行ってくれないと、次の患者さんが入れないじゃないのと婦長がぼやく。婦長のすっぴんのほうがよっぽどコワイが。 - 妊娠中もずっとタバコを吸っていたせいか、生まれた子は体が小さく、その後の発育も悪かった。オツムのほうも何をか言わんやで、今は普通のクラスには通っていない。
なによ、アタシのせいって言うの!! - イライラする。禁断症状のようだ。吸おうとしたが禁煙場所だった。目の前の目つきの悪いオヤジにたしなめられ、ついかっとなり殴ってしまう。
運の悪いことに社長の友人であった。職を失う。 - 机の上に置いていた吸い殻を、ヨチヨチ歩きができるようになった可愛い盛りの息子が食ってしまう。
2、3本食ったらしく、致死量だったようだ。合掌。 - 寝タバコの後始末を忘れた。幸い自分は助かったが、妻子を焼き殺してしまう。火災保険も更新を忘れていた。
悲しいな。タバコでも吸うか。