遠隔画像診断医師やすきー(岩崎康)の画像診断雑記

骨転移?

やすきー

乳癌の既往のある患者さんで、頭痛のため撮ったMRIです。

 

 少し板間層が厚いですが、高齢女性ではよくあることです。
 厚すぎる場合は昔に抗痙攣剤であるアレビアチンを服用していなかったか、と訊きたくなります。
 この前見た症例は Engelmann 病でしたが。

 

 で、どれが問題かというと・・・

 

 頭頂部の板間層に腫瘤状の低信号が多数見えます。
 気の早い人は「すわ、骨転移か」と思うかもしれませんね。

 

 

 でもこれは転移と違います。

 

骨転移ではなく・・・

 

骨転移でない

 

 CT(横断像) では同部はこうなっています。

 

  なんてことはない、閉鎖した矢状縫合です。

 

 蛇行している曲線状の骨硬化をまっすぐスライスすると、断続的に並ぶ小結節群に見えるということです。

 

やすきー

 矢状断では画像をページングして見れば間違いませんが、1コマだけ見るとドキっとしますね。
 特に位置決め画像は1コマしかないことが多いですし。

 

 MRI の横断像ではこんな上まで撮っていないので、確かめようがないですが、わざわざCTやMRIで再検するのも患者にとっては迷惑です。

 

 鑑別のポイントは矢状縫合のある位置にしか見られないことです(当たり前のことを当たり前に言ってしまった!)。

 


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