内頚動脈が見えない
症例は90歳くらいの女性。
MRアンギオで左の内頚動脈が描出されていません。
ぼやっとしていると、つい、内頚動脈閉塞症と書きたくなりますね。
でも落とし穴があります。
MRI を見ると
右の内頚動脈は「flow void」として見えています(黄色矢印)が、左の内頚動脈ははっきりしません。
まあ、蝶形骨洞が隣接していますし、血栓で閉塞していると骨髄脂肪と判別しにくいので、どうなっているかわかりにくいですね。
こういうときは CT で確認。
内頚動脈の無形成
CTの骨条件では左側で卵円孔(赤色矢印)の背側にあるべき頚動脈管が形成されていないことがわかります。
内頚動脈無形成(片側第1型)でした。
【疾患の解説】
内頚動脈の無形成は内頚動脈の閉塞と病態は似ているが、頭蓋骨の頚動脈管(carotid canal)も無形成〜低形成を示すことが異なる(鑑別診断のポイント)。
片側性のものと両側性のものとで血行動態が異なる。
Lie は3型に分類している。
片側性では、
・第1型:ACA は対側から、MCA は Pcom からの血流を受ける
・第2型:ACA と MCA はともに対側の ACA から血流を受ける
・第3型:transsellar intercavernous intercarotid anastomosis のある例
両側性では、さまざまな側副血行路が見られる。