遠隔画像診断医師やすきー(岩崎康)の画像診断雑記

一見正常なMRA(2)

 

 またまた、一見正常に見えるもの。

 

 右中大脳動脈起始部にわずかに狭窄があるようですが、それのことではないです。

 

 と言うと、ちょっと気づいてしまうかな。

 

 右の椎骨動脈が太い?

 

 それだけ?

 

少し回転させたら

 

 

 少し回転してみました。

 

 通常だとこのへんで気づかないと見落とすよ。

 

 内頚動脈と椎骨動脈がずいぶん長く水平に並んで伴走していますね。

 

 ナゼ?

 

 え、元画像が欲しい?

 

 

元画像では

 

phga

 

 太い血管が右の舌下神経管を通っています。

 

 通常はここにはこんな太い血管はありません。

 

 この太い血管は MIP 像で見えた右椎骨動脈のはずだけど、どうしてこんなところを走っているのでしょう。

 

原始舌下動脈遺残

 

 そう、原始舌下動脈遺残です。

 

 この前に原始三叉動脈遺残を出しましたが、単なる前フリでした。

 

 こちらのほうが珍しいですが、それでも頻度は 400-4000人に1人とそんなにまれではありません。

 

 胎生期に存在した舌下動脈(内頚動脈と椎骨動脈とを連絡)が遺残したもので、この症例では本来の右椎骨動脈は退化してしまったようです。左椎骨動脈は通常の走行をしていますが、細いですね。

 

 これなら研究会に出しても恥ずかしくないよね。

 

 

MIP で通常の椎骨動脈と走行がちょっと(だいぶ?)違うってことに気がつきますでしょうか。

 

診断のポイントは MRA の元画像を見て椎骨動脈の通る部分を確かめること。

 

私の日記に別の症例を載せました。⇒原始舌下動脈遺残のMRA

 

 

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