遠隔画像診断医師やすきー(岩崎康)の画像診断雑記

右鼡径ヘルニア

右鼡径部腫瘤

 

右鼡径部に腫瘤がある。

 

水濃度のようで、嚢胞性のものらしい。

 

 

ヘルニアを生じた腸管にしては壁が見えないほど薄い。

 

それにこれより頭側のスライスでは腹腔内に続く軟部腫瘤は見られない。

 

 

なんでしょね。

 

ヒント: これは女性である。

 

だって子宮が見えるでしょ。

 

 

 

答え(ええ?もう?)

 

答え: Nuck管水腫

 

ヌック管の「水腫」というか、ヌック管内の腹水貯留。

 

 

 

 

 

Nuck管水腫

 

腹膜が子宮円索に沿って鼠径管に入り、大陰唇まで達しうるが、そこに液貯留をきたしたもの。

 

Nuck管は男性では腹膜鞘状突起に相当。

 

可動性良好。サイズは腹圧や圧迫により変動する。

 

腹腔と連続していることも、癒着して非連続なこともある。

 

鼠径ヘルニアの合併の頻度が高い。

 

腹膜鞘状突起は胎生3ヵ月より内鼠径輪に向かい突出を始める。
男児では胎生7ヵ月の精巣の下降と共に鼠径管を通り陰嚢に至るが、女児ではNuck管が鞘状突起に相当し、子宮円索に伴って鼠径管を通り大陰唇に至る。

 

 

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