遠隔画像診断医師やすきー(岩崎康)の画像診断雑記

後天性の難聴

fft

 

よく難聴の原因精査で CTやMRI の依頼がありますが・・・

 

上のCTは50歳くらいの人で最近左側の耳が聞こえにくくなってきたということで撮ったもの。

 

中耳炎はなさそう。耳小骨も正常なんです。

 

さて、なに?

 

え、よくわからない?

 

・・・・・・

 

 

では thin slice です

 

fft

 

もうわかりましたね。

 

卵円窓前方の骨質の濃度が低下しています。

 

 

ここです(←部)

 

念のために矢印で示しておきます。
fft

 

次は前額断(再構成)です。
fft

 

耳硬化症(窓型)ですね。

 

答え:耳硬化症(窓型)

 

耳硬化症(窓型) とは 前庭窓近傍(卵円窓の前方で蝸牛頂の外側付近)の緻密骨が海綿状の新生骨に置換される疾患で、アブミ骨底の固着を引き起こすために伝音性の難聴をきたす。

 

この新生骨は血流が豊富なために MRI では造影効果を認める。CT では骨内なので造影効果は指摘しがたい。

 

慢性期には血流が減少し、骨化が進むために診断が困難となる。

 

 

yascii

 

結構多い疾患です。今まで見落としていることも多いのではないでしょうか。

 

「中耳炎なし。耳小骨離断なし。」と書いて終わりにしていませんか?

 

慢性期に骨硬化が起きるが、症状はその前段階(骨融解期)で起きるので、骨硬化でなく骨融解を見つけることが重要です。

 

病変の好発部分には 小児では cochlear cleft という骨粗造像が見られることがありますが、臨床経過で区別できます。

 

頭部CT の場合通常のスライス(5mm厚程度)では見落としやすいので、thin slice での評価が必要となるケースが多いです。

 

MRI でも通常のスライスでの検査ではまず診断できません。造影後でも結構難しかったりしますので、thin slice CT でけりをつけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

スポンサードリンク