原発事故
公開日:
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最終更新日:2014/05/19
日記 原子力, 地震, 津波
2011.3.13(日)
津波の恐ろしさをTVで目の当たりに見て、ようやく実感できますね。今まで実験装置やスマトラ沖の時の映像を散見しただけで、あれほど恐ろしいものとは実感がわきませんでした。
さて、津波は余震さえなければ収束に向かうでしょうが、収束に向かっていない問題は原発ですね。
発表された放射線の線量は微々たる量に見えますが、これに時間の要素がかかりますので、長時間だと問題になりえます。
あと、距離の問題があります。
放射線源を仮想的に点としますと、放射能は距離の2乗に反比例するので、原子力発電所内でも炉心に近いところで長時間作業している人にはかなりの量になる可能性があります。
発表されている値はモニタールーム(安全と言われているくらい炉心から離れた部屋)での値や敷地の門での値ですから、モニタールームより近づく必要のある所内の人にはかなりの危険レベルでしょう。所内の作業員や応援の自衛官の中にはおそらく放射線障害で命を落とす人が何人か出るかもと思っています。感謝の念を感じずにはいられません。
発電所の外にいる人には(皮膚や衣服に付着していない限り)全く問題のない量です。
ただし、放射線を一時的に浴びるだけでなく、放射線物質が皮膚や衣服に付着した場合は、距離は至近でかつ被曝時間が長くなりますので、測定値が微々たるものでも問題になりえます。避難生活なら入浴もできないし、服も着たままなので除染したほうがいいわけです。
しかし、いつもモニタールーム(おそらく厳重な遮蔽措置がなされている)と門(遮蔽はほとんどなされていない)の分しか線量を発表していませんが、もう数カ所遮蔽の少ないところの数値があれば、その時点での全ての地点の放射線量が推定できるはずですよね。高校生でも解ける方程式で。
実際、測定場所はもっとたくさんあるはずですが、その値をすべてなぜ発表しないのか。なぜ2点だけなのか。
ひょっとして、炉心の放射線量や正確な被曝量を推定されることが怖いのでしょうか。
経時的に見ることで、炉内の放射線の変動だけでは説明がつかない事態が起きている(空気中に放射線物質が出ているなど)ことも簡単に推測できます。
マスコミの関係者は典型的な文系の人が多いのか、言葉の意味も物理法則も知らないような、つまり科学的な推論ができない人が原発の取材に行っているのではないでしょうか。
門のところまでの距離とか他の場所の測定値とか建物の図面とか、なぜそのへんのクリティカルなことをもっと質問しないのか。
それらのデータを専門家に見せれば、すぐにだまされているかどうかわかるのに。
質問しても正確なデータを出してこないなら、マスコミは原発近くで何カ所か測定チームを送ればいいと思います。
自分の命が惜しいのであれば、それなら命知らずのフリーライターを雇ってやらせるとか。戦場の取材ではよくやっていることですよね。
「ワタナベヨウイチとかは戦場でほとんど見かけたことがない」と別の戦場カメラマン(M氏)が言っておられましたが、ワタナベさんはなんで突撃取材に行かないのでしょうか。
近くで測定できないのであれば、20km圏外でもいいと思います。
それでより正確な事態が推定できると思いますが。
少なくとも発表の矛盾点があればそこをつけます。そしてより正確な情報を得ることができます。
国民の味方を自称するのであれば、それくらいはしてほしいところです。
そんなことを思いつかない記者をもっとセンスのないデスクが派遣しているようなら、すでに終わっていますが。
ついでに: 今年1月29日号の週刊ダイヤモンドに「福島第二原発」の安全性を謳う提灯記事が載っていました。「停電になってもディーゼル発電機が作動する万全の体制」というような記述がありましたね。マスコミはもっとがんばってね。私もうまくいけば被災地の病院の手伝い(遠隔画像診断で)ができるようになるかもしれません。
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