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問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書) / エマニュエル・トッド

公開日: : 最終更新日:2017/03/02 読書

問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書) 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)
エマニュエル・トッド 堀 茂樹
文藝春秋 2016-09-21
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★★★★☆(世界情勢がじつによくわかる)

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』の著者エマニュエル・トッドさんの考え方がわかります。

トッドさんは歴史人口学者ということで、社会(国)の人口の構成や変化などからいろいろな社会現象を説明するという珍しい方法をお持ちです。

家族の形態から国の性格がわかる

この本は講演を集めたもので体系的には書かれていないのですが、家族形式を外婚性共同体家族内婚性共同体家族核家族とに分けているようです。

人類の歴史からいくと、核家族が最も古い形式だそうです。

共同体家族はより新しい形態で、親・子・孫やそれらの兄弟が同居するもの。この共同体家族は外婚性と内婚性とに別れます。

内婚性共同体家族は家族内での結婚(イトコ婚が代表的)が多い家族形式で、外婚性はイトコ婚がほとんどないもの。

日本は外婚性共同体家族にあたり、アングロサクソンは核家族が多く、イスラム諸国は内婚性共同体家族が多いそうです。

核家族が多い国は平等思想が強く、共同体家族が多い国は一部の派閥が支配層を独占する傾向が強いということです。

で、家族形式の違う国同士は思想基盤が異なるがゆえに同盟が結びにくいということです。

こういう思考方法はなかなかオモシロイです。今まであまり気にしていなかったので。

EUとは現代のドイツ帝国である

グローバリズムの限界(グローバリズム・ファティーグ)により、最初にグローバリズムを導入したイギリスとアメリカがナショナリズムに回帰してしまいました。

EU はドイツがほかの国を有無を言わせずリードして、グローバリズムをさらに推進しようとしています。

ドイツは他のEU諸国と異なり、人口減少をきたしているのにさらなる経済支配を求めており、ほかの国から教育水準の高い人材を得るために、あえて他のEU諸国の貧困には目をつぶっているということです。

そういう意味で、「問題は英国ではない、EU というよりドイツなのだ」なのです。

フランスは以前からドイツ恐怖症にかかっている(イギリスのことは信用している)が、すぐに離脱に向かうであろうとフランス人のトッドさんは予想します。

英国が復活するまで「失われた10年」が必要になるかもしれない・・・それくらい英国の問題は根深いようです。

でも EU 諸国が復活するのはもっと長い期間かかるか、あるいはたぶん解体するでしょうね、ということです。

そのほか、非常に含蓄に富んだ話が満載。

普通の政治学者って胡散臭い人も多い(分析が数量的でないので独りよがりに見える)のであまり信用していませんが、歴史人口学者の語る国際政治って観点が変わっていてエキサイティングだし、お持ちのツールが強力かつ普遍的なので説得力がありそう。他の社会学にも適用できそうですしね。

この人の著作は要注目ですね。

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