*

逆説の日本史16 江戸名君編(2)

公開日: : 最終更新日:2014/03/28 読書

逆説の日本史16 江戸名君編 (小学館文庫) 逆説の日本史16 江戸名君編 (小学館文庫)
井沢 元彦

小学館 2013-06-06
売り上げランキング : 1478

Amazonで詳しく見る by G-Tools

前の 逆説の日本史16 江戸名君編 で書きましたが、後半部分です。

後半は江戸時代(上方、江戸)の文化について。

俳諧・歌舞伎・落語といった江戸文化は最初上方で花開き、それが江戸にも伝授され、江戸で独自の(と言うほどの差異はないとも思いますが)文化を作りました。

この文化のおかげで、日本人の識字率の高さがさらに高められます。

日本人の文盲の少なさの理由を寺子屋に求める人が多いですが、井沢氏はもっと古い時代から大きな変革があったのだとします。

それは平家物語太平記。源氏物語ではありません。

文字を知らない大衆にどうやって文字を教えるのかは大きなテーマです。

文字と発音、意味とは本来なんの関係もないものだからです。

それにはまず、音曲化して口語文(ひらかな)を耳に染み込ませ、こんどはそれを字(漢字)にあてはめるというステップを踏む必要があります。

まず大量の「意味のわからない音のつながり」を蓄積させ、それを文字化させることによって肉付けをする。

そのためのテキストとして「平家物語」は実に適していた。

日本以外にはこのようなものはなかった。だから世界に先んじることができた。

源氏物語は「書き物」なので「目で見る」しかない。つまり、字を知らないと理解できないのです。

平家物語は字を知らない大衆でも理解ができるという点で、源氏と平家はまさに正反対なんです。

印刷技術もない時代に庶民に広めるには多数の琵琶法師(西洋の吟遊詩人、昭和の紙芝居屋さんのようなもの)という「生きたテキスト」が利用されたのです。

琵琶法師は盲目ですから、書を使って教えられない。

かえってそれがよかったわけです。

文字だけではおもしろくないので、音楽をつけた。

音のついた文章というというと、歌の歌詞のようなもの。

最近イタリア語の歌を耳コピで歌っていますが、それから歌詞を見れば、ああこういう発音でこういう意味だったのか、とよくわかります。

こういう素地が平安時代から庶民階級にもあった。

あとは「平家物語の××というのはこういう字をあてて、こういう意味だよ」と教えればいいわけです。

「ああ、あれってこのこと」という発見はひどく楽しいものです。学習意欲がわきます。

こういう素地がないと、「この字はこう読んでこういう意味に使われる」と、全く知らないことを丸暗記しないといけなくなります。おもしろくないでしょ。英語ができない生徒によくあるパターンです。

私は小学校の頃にビートルズの洗礼を受けたので、中学校の英語の授業はむちゃくちゃおもしろかったです。

昔の人は、漢文もそうやって耳から覚えさせられて、後から字に落とし込むという方法をとっていました。

そういう意味ではあの英語教材「スピードラーニング」も理にかなったやり方かもしれませんね。聴くだけでは半分で、後から字に落とし込まないといけませんが。

【関連記事】

逆説の日本史16 江戸名君編

逆説の日本史 14 近世爛熟編

「逆説の日本史8 中世混沌編」

「逆説の日本史5 中世動乱編」

読書「逆説の日本史11 戦国乱世編」

読書「逆説の日本史11 戦国乱世編」

######

関連記事

言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) / 橘 玲 (2)

言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) 橘 玲 新潮社 2018-03-28

記事を読む

月蝕島の魔物 / 田中 芳樹

月蝕島の魔物 (ミステリーYA!) 田中 芳樹 理論社 2007-07 売

記事を読む

クルマは家電量販店で買え!―価格と生活の経済学 / 吉本 佳生

クルマは家電量販店で買え!―価格と生活の経済学 吉本 佳生 ダイヤモンド社

記事を読む

金儲けのレシピ / 事業家bot (2)

以前の記事「 金儲けのレシピ / 事業家bot 」の続きです。 著者は他業種のビジネスモデルを

記事を読む

宗像教授伝奇考 (第1集) / 星野 之宣

宗像教授伝奇考 (第1集) (希望コミックス (279)) 星野 之宣 潮出

記事を読む

論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス) / 倉島保美

論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス) 倉島 保美 講談社 2

記事を読む

降魔王 / 高橋 克彦

降魔王 降魔王 (講談社文庫) 高橋 克彦 by G-Tool

記事を読む

考える力をつくるノート

すぐに実行できるのに誰も教えてくれなかった考える力をつくるノート (KEIO M

記事を読む

新版 戦国史新聞 / 戦国史新聞編纂委員会

★★★☆☆ 新聞形式 前回の記事「三国志新聞 」と同じ出版社の日本文芸社から出ています。

記事を読む

タイムスリップ釈迦如来 / 鯨統一郎

タイムスリップ釈迦如来 タイムスリップ釈迦如来 (講談社ノベルス) 鯨 統一郎

記事を読む

Zinner症候群

大昔、京都大学の医学部大学院生であったとき(39年ほど前)の話、ある先

白い人が仕掛けた黒い罠:アジアを解放した日本兵は偉かった / 高山正之

★★★☆☆ 著者は元産経新聞記者の高山正之さん。テヘラン・ロ

【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換(2)

昨日の記事「【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換」の

【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換

画像の解像度(DPI)を変換するのには、Photoshop などのソフ

家紋の歴史について

日本の家紋の歴史は、単なる「家のマーク」の歴史ではなく、身分秩序・戦場

→もっと見る

  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑