ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? / 岩田健太郎
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読書
ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書) 岩田 健太郎 技術評論社 2011-09-23 売り上げランキング : 451626 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
医療倫理にはためらいが必要
医療倫理は生命倫理とは違います。
医療倫理はイエスかノーかで決められるものではありません、という主張は納得がいきます。
いろんな条件、環境、患者の背景などで変わってくるものです(私も内科医のときに悩みました)。
医療事件の判決文を読んでいると「十分に予見できた」とか言い切っているので、「あんた医療のシロートやろ。神様でも何分後にどうなるかなんてわからんぜ」と私でさえ思うことがしばしば。
まあ、裁判官は職業上白黒つけなければいけないからしょうがないのかなと思いますが、善悪や白黒をきっちり決めつけることが必ずしも正しいとは言えないだろう・・・特に医療には・・・というのがこの本の主張です。
それで白黒を決める人間が不完全だとヒサンなことになりますね。
朝日新聞読んでいても同じような憤りが感じられますね。
犬が人間をかんでもニュースにならない
病原性大腸菌を保有した牛肉のユッケで 4人死んだ事件は日本が衛生的すぎるからニュースになったという指摘はああなるほどと思いました。
アメリカでは毎年食中毒で3000人死ぬそうです(人口の 1/6が毎年食中毒にかかる)。
日本でも高齢者が孤独死しているのがニュースになりますが、諸外国では当たり前すぎてニュースになりません(近所で数日噂になる程度)。
衛生管理が重要であることには異論がありませんが、食中毒ゼロなどという完璧な防疫体制は無理です。
これも白黒つけすぎる(衛生管理をやりすぎる)のがよくない例なんでしょうね。
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