日本史の謎は地政学で解ける / 兵頭二十八(3)
公開日:
:
読書
「日本史の謎は地政学で解ける / 兵頭二十八(2)」の続きです。
*
ロシアが満州にこだわるわけは、ジャガイモの栽培北限が満州北部だから。
つまり満州を入手できればそこで食料を確保できるため輜重が楽になるのです。
満州が手に入らなければ、戦争をしかける場合にロシアの補給基地から遠路はるばる食料を十分に運ぶ必要があるわけ。
日本が朝鮮半島を抑えても満州をロシアに取られると直接対峙することになるが、満州もおさえておけば満州の北(ジャガイモがとれない)にロシアが常時大軍を置くのはコストがかかるため不可能で、安全性は飛躍的に高まるのです。
ということで満州を日本がとることにしたわけです。
イモがキモだったというのが面白いですね。
*
さて、元寇の話です。
文永の役で脅しを十分にかけたと思った元でしたが、日本が降伏や和平に出てこなかったので、弘安の役を起こしました。
南宋と高麗の兵を尖兵として利用したのは彼らの常套手段ですが、これらに死んでくれた(異民族の口減らし)ほうが元の国内事情にも都合がよかったこともあります。
山陰や北陸などの山に近い浜に上陸しようとしなかったのは、南宋、高麗の兵が脱走しないようにするためで、上陸は前回と同じ広い平地のある場所を選択するしかなかったのですね。
日本側は上陸地点をしぼることができた上に、食料を集積している場所を占拠されなければ相手が補給が不足して上陸を長く続けられないとわかっていました。
つまり、太宰府を防御しておけば相手の食料が尽きていずれ退却せざるをえないとわかっていたため、少数の兵数で効率よく撃退できたわけ。
神風が来なくてもたぶん勝てていただろうというお話です。
###
関連記事
-
-
没落金持ち1000人に学ぶなぜかお金が逃げる人 大きくたまる人 / 立川 昭吾
没落金持ち1000人に学ぶなぜかお金が逃げる人 大きくたまる人 没落金持ち10
-
-
常識としての軍事学 (中公新書ラクレ) / 潮匡人 (2)
常識としての軍事学 (中公新書ラクレ) posted with amazlet
-
-
「文系バカ」が、日本をダメにする -なれど"数学バカ"が国難を救うか / 高橋洋一 (2)
「文系バカ」が、日本をダメにする -なれど”数学バカ”が国難を救うか (WAC
-
-
それは違う! / 日垣 隆
それは違う! それは違う! (文春文庫) 日垣 隆 by G-
-
-
目からウロコ マンション管理のトリセツ / 増永 久仁郎
★★★☆☆(マンション管理組合の役員には必須) マンション管理士という国家資格があるそ
-
-
緑の猫 手塚治虫名作集 (19) / 手塚治虫
緑の猫 手塚治虫名作集 (19) (手塚治虫名作集) (集英社文庫) 手塚
-
-
ハゲタカは飛んでゆく / ラリー・S. ジュニア
ハゲタカは飛んでゆく ラリー・S. ジュニア Larry S. Junior 実
-
-
FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド / クリスティー・シェン, ブライス・リャン
★★★★★(すげえ) まだ半分読んだところですが、久々に感心しました。 四川省の
-
-
「震災大不況」にダマされるな! 危機を煽る「経済のウソ」が日本を潰す / 三橋貴明 (3)
「震災大不況」にダマされるな! 危機を煽る「経済のウソ」が日本を潰す 三橋貴明
-
-
経済で読み解く日本史 安土桃山時代 / 上念司 (2)
経済で読み解く日本史② 安土桃山時代 posted with amazlet






