*

だれが中国をつくったか 負け惜しみの歴史観 (PHP新書) / 岡田英弘

公開日: : 最終更新日:2018/07/14 読書

だれが中国をつくったか 負け惜しみの歴史観 (PHP新書) だれが中国をつくったか 負け惜しみの歴史観 (PHP新書)

岡田 英弘

PHP研究所 2005-09-15

売り上げランキング : 56385

Amazonで詳しく見る by G-Tools

★★★★☆

岡田史学にはいつも啓蒙されていますが、この本も卓見ばかりで、ため息しか出ません。

薄い本ですぐ読めて、「あー、ためになったぁ」と思える本です。

史記の影響

司馬遷の「史記」によって提示された紀伝体がその後のシナの歴史書を縛りつけてしまったため、その後の歴史書(正書)には都合の悪いことは書かれなかったり、軍人の功績は無視したり、歴史はすでに一巡してこれ以上の変化はないものと規定したり、いろいろと事実や現実との解離が見られるようになったようです。

史記によって提示された「天下の正統は一つ」というテーゼが現在も「一つの中国」という思想になって、中国が台湾を認めない理由になっています。

台湾(中華民国)は清から禅譲を受けた正統国家ですが、中国は中華民国から禅譲を受けていないので、台湾を認めると自分が正統でないことを認めてしまうことになるからですね。

中華思想

「中華思想は負け惜しみの思想」は、南宋が金による圧迫を受けて戦では勝ち目がないために「こちらのほうが正統だ」という負け惜しみを資治通鑑に記したことで、現代まで生き残ったものだと指摘されています。

南宋ももともと趙匡胤が作った国で、夷狄の出身です。それが一度はシナ全土を征服したものの金により南半分に抑え込まれたわけで、中華を名乗るのはおかしいわけですね。

シナ史の問題点

漢書、元史、三国志の問題点も指摘されています。

最後の章の「欽定外藩蒙古回部王公評伝」に至っては存在も知りませんでした。

ほかの本ではこれらの致命的な欠点は教えてくれませんね。まことに勉強になります。

学校でウソだらけの歴史(の一部)を教え込まれた我々はこういう俯瞰的な視点を持ってもう一度歴史を眺めてみる必要があります。

山川書店の本をいくら読んでもあきまへん

関連記事

###

関連記事

村上海賊の娘 全4巻 / 和田竜

村上海賊の娘 全4巻セット (新潮文庫) 和田竜 新潮社 売り上げランキング

記事を読む

風の又三郎―雪渡り・十力の金剛石 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

風の又三郎―雪渡り・十力の金剛石 (ますむら・ひろし賢治シリーズ) ますむら ひろ

記事を読む

日本のグランドデザイン / 三橋 貴明

日本のグランドデザイン -世界一の潜在経済力を富に変える4つのステップ 三橋 貴

記事を読む

エコカーはエゴカー?

* エコカーの最先端である電気自動車ですが、原発のあった時期はその安い夜間電力で充電できたので

記事を読む

日本人だけが知らない世界から尊敬される日本人 / ケント・ギルバート

★★★☆☆ ケントさんが紹介する日本の偉人達。 アメリカによる War Guil

記事を読む

歴史とはなにか (文春新書) /岡田 英弘 (1)

歴史とはなにか (文春新書) 岡田 英弘 文藝春秋 2001-02 売り上げラン

記事を読む

男の子は「脳の聞く力」を育てなさい / 加藤俊徳

男の子は「脳の聞く力」を育てなさい 加藤 俊徳 青春出版社 2017-11-25

記事を読む

へんな虫はすごい虫 / 安富 和男

へんな虫はすごい虫―もう"虫けら"とは呼ばせない! (ブルーバックス)安富 和男

記事を読む

もう一度「捨てる!」技術―「メンテナンス!」の方法 / 辰巳 渚

もう一度「捨てる!」技術―「メンテナンス!」の方法 (宝島社新書) 辰巳 渚

記事を読む

孟嘗君と戦国時代 / 宮城谷昌光

孟嘗君と戦国時代 (中公新書) posted with amazlet at

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【FX】ECMarkets にデモ口座を開く

TariTali 対応の海外 FX 業者の中に ECMarkets(E

【FX】高頻度トレーダー(HFT)タイプの EA の評価方法(2)

以前の記事「【FX】高頻度トレーダー(HFT)タイプの EA の評価方

3年ぶりに歯医者に行く

2週間前にガストのハンバーグを食べていると、なにか硬いものが歯に当たり

【FX】AXI Select 21日目

昨日の続きです。 実は昨夜のうちに利益目標の 7% を超えちゃい

【FX】AXI Select 20日目

AXI Select とは AXI Select とは AXI とい

→もっと見る

  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑