【寓話】ある拉致事件
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登場人物
サナダマル:サナダムシの長老
アユム:横縞がよく似合う若いサナダムシ
アコム:ちょっと間抜けな若いサナダムシ
舞台
とある北朝鮮人の腸の中
開幕
サナダマル「最近自家感染のせいか、仲間が増えて狭くなってきたのお。おい、そこの若い衆。」
アユム「私ですか。ちょっと待ってください。ルーティンしないと気持ち悪いもので。よっこらしょ。お待たせしました。なんでしょうか、おじいさん。いや、おばあさんかな。」
サナダマル「わしらは雌雄同体だからどっちでもいいんだ。ところでおまえら最近自家感染ばかりで、外界に体節を放出してないんじゃないか?」
アユム「宿主が慣れたのかあんまり下痢してくれないのですよ。派手にしてくれるとこちらもタイセツな体節をフンぱつするのですが。」
アコム「シュクシュ? なんのこと? ヨクシュ(翼手)でっか。」
アユム「それはサヤとハジが全部退治したでしょ。宿主とは我々が生きているこの場所のことだよ。実はニンゲンという動物なのだ。」
サナダマル「自家感染ばかりだと幼生たちが腸からほかの臓器に迷い込んで宿主が死ぬこともあるんじゃ。我々もおだぶつになるぞ。」
アコム「迷い道クネクネ~!」
アユム「本来は体節を飛ばして世界の海に乗り出さないといけないのでしたっけ。」
サナダマル「そうじゃ。海か川でサケに乗って別の土地に運ばれてそこの宿主に入り込むんじゃ。」
アコム「サケって・・・飲んだら乗るな~!」
アユム「そのサケでなく、体節を海を越えて運んでくれるありがたい生きものだ。」
アコム「ああ、シドの飛空艇みたいな? チョコボより便利だよね。」
サナダマル「なんじゃそりゃ。とにかくサケに乗れればほかの土地にわしらの子孫をどんどん広めることができるのじゃ。だから勇気をもって大海原にゴーじゃ。」
アユム「ところが宿主の友達がニッポンという土地に潜入して帰って来たそうですが、かの土地ではウンコは川にしないそうです。」
サナダマル「なんと、それではニッポンにたどりついてニッポン人に入り込んだ子孫たちが放った体節たちはみんな死んでしまうじゃないか。ニッポンとはそんな恐ろしいところか。ニッポン人に入り込んだ子孫は生き続けるじゃろうが、その子孫はもはやどこにも行けん。幽閉されてしまうわけじゃ。ニッポン人による拉致じゃな。」
アユム「そうなんです。北朝鮮では自由なのにニッポンでは拉致されるのです。」
アコム「拉致被害者を返せ~。」
(幕)
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