タダより高いものはない / 上念司 (2)
公開日:
:
最終更新日:2019/06/29
読書
イースト・プレス (2017-08-10)
売り上げランキング: 262,345
★★★☆☆
前回の記事「タダより高いものはない / 上念司」の続きです。
医療費の増大に対しても対策が載っています。
医療費は P×Q で表わされ、P は医療サービスの単価、Qは医療サービスの量です。
アメリカはPが異常に高いことからQの上昇が自主的に抑制されます(虫垂炎の手術が 250万円で全額負担とはよく聞く話)。
イギリスでは家庭医の紹介状がないと大病院にはアクセスできないため、Qの上昇が抑えられています。
日本は Q の抑制方法を持っていません。
最近、大病院では紹介状がないとウンヌンてなことを表示していますが、罰則(初診料割増)を受ければ大病院にいきなりかかることは可能です。
日本ではPのコントロールのために、出来高払いから包括払いに徐々に移行していこうとしています。
あと日本には急性期病棟の数が異常に多く、回復期病棟の数が少ないので、そのあたりをうまく調整すれば医療費は最大 28%も削減できるそうです。
そして最後にスウェーデン方式。「寝たきり老人を作らない」政策です。よく知らない人はすばらしいと思うでしょうが、「寝たきり状態に陥りそうな人」には積極的な医療はしない=寝たきりにならずに死んでしまう というものです。
介護施設に入っている人が急変しても病院には搬送せずそのまま看取るというものです。
寝たきりになりそうなときはもう死期が来たと同じと納得するということです。
国民がこのような死生観を持ってくれれば医者も楽なのですが、現状ではたとえ総論賛成しても、自分の親や兄弟、配偶者の場合に立ち会えば無駄な延命処置をするのが普通かもしれません。
もう意識が戻らないだろうと確実に決定することができるならば、誰でも無駄な点滴などやめることを納得できるかもしれませんが。
私の経験では、意識がない状態で死ぬまで点滴を続けると亡くなる前は腎不全やら心不全で全身がむくんでしまい、遠くから来た親戚などは顔を見てもわからないとうこともしばしばでした。点滴をしなければ脱水状態のまま亡くなることが多いでしょうから、むくんでどす黒くなることはないと思われます。
若い人は脳の可塑性が高いのでもう意識が戻らないだろうと確実に決定することは難しいかもしれませんけど、我々のような年寄りの人はよく考えておいたほうがいいでしょうね。
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