日本古代史99の謎 邪馬台国から統一王朝まで / 鈴木武樹
公開日:
:
読書
★★★☆☆
本棚の整理をしていたら出てきました。
1975年初版発行。
鈴木さんはドイツ文学者でよくTV(「クイズダービー」など)に出てた人。1978年に胃癌で亡くなっています。
大学生のときに読んだはずだが、ほとんど記憶にない。
ちょっと読んでみると、ああそうそう、古代の天皇の名を漢風諡号ではなく、和名(しかもカタカナ)で書いているので読みにくかったなと思い出しました。
漢風諡号がないと誰が誰かわからないものですね。
わかりにくいので倭の五王のところだけまとめてみました。
代 | 漢風諡号 | 和名 | 宮 |
16 | 仁徳 | 大鷦鷯尊(おほさざきのみこと) | 難波高津宮(なにわたかつのみや)(大阪市天王寺区) |
17 | 履中 | 大兄去来穂別尊(おおえのいざほわけのみこと) | 磐余稚桜宮(いわれわかざくらのみや)(奈良県桜井市) |
18 | 反正 | 多遅比瑞歯別尊(たじひのみずはわけのみこと) | 丹比柴籬宮(たじひのしばかきのみや)(大阪府松原市) |
19 | 允恭 | 雄朝津間稚子宿禰尊(おあさづまわくごのすくねのみこと) | 遠飛鳥宮(とおつあすかのみや)(奈良県明日香村) |
20 | 安康 | 穴穂尊(あなほのみこと) | 石上穴穂宮(いそのかみのあなほのみや)(奈良県天理市) |
21 | 雄略 | 大泊瀬幼武尊 (おおはつせわかたけるのみこと) | 泊瀬朝倉宮(はつせのあさくらのみや)(奈良県桜井市) |
諸説ありますが、讃(さん)は仁徳または履中、珍(ちん)は反正、済(せい)は允恭、興(こう)は安康、武(ぶ)は雄略というのが有力な説ですね。
*
著者は反正と允恭との血統の連続性を疑っています。
允恭の名にスクネという大王にふさわしくない文字が含まれていることと、アサヅマ(現在の滋賀県米原市朝妻)という文字も含まれていることから、そのあたりの豪族の血縁者が王位を簒奪した可能性を考えているようです。
結構鋭い指摘ですね。
*
私がおやと思ったのは最初に飛鳥に都を置いたのが允恭天皇であることです。飛鳥は大和川が奈良盆地に出るところ、つまり難波に最も近い交通の要所ですから、もっと古い時代から都になっていたものと思っていたのです。
*
結構おもしろい本ですが、専門外の人の書いた本なのでかなりの推測が含まれていることをふまえて読まなければいけません。
さらっと読み流すのがいいかも。
###
関連記事
-
-
新版 戦国史新聞 / 戦国史新聞編纂委員会
★★★☆☆ 新聞形式 前回の記事「三国志新聞 」と同じ出版社の日本文芸社から出ています。
-
-
マンガ 終身旅行者 Permanent Traveler / 木村昭二
マンガ 終身旅行者 Permanent Traveler (ウィザードコミッ
-
-
読むクスリ〈14〉 / 上前 淳一郎
読むクスリ〈14〉 (文春文庫) 上前 淳一郎 文藝春秋 1993-12
-
-
目からウロコの世界史 “読みやすさ”“面白さ”バツグンの「通史」決定版! (PHP文庫) / 島崎 晋
目からウロコの世界史 “読みやすさ”“面白さ”バツグンの「通史」決定版! (PH
-
-
このNAXOSを聴け! / 松本大輔
このNAXOSを聴け! 松本 大輔 青弓社 2007-10-13
-
-
FX 「シグナル」を先取りして勝つ! -稼ぐ人はなぜ相場の動きを読めるのか? / 松田 哲
FX 「シグナル」を先取りして勝つ! -稼ぐ人はなぜ相場の動きを読めるのか?-
-
-
お金持ちのお金はなぜなくならないの? / 宮本弘之(2)
★★★☆☆ 以前も紹介した本です。 「お金がなくなった時点でお金持ちでなくなるか
-
-
外資系コンサル×AIのプロが教える 生成AI時代の超仕事術大全 / 保科学世
★★★☆☆ アクセンチュアの執行役員が書いた 生成AI についての仕事への活用方法、問題点
-
-
知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 / 橘 玲
知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫) 橘 玲 幻冬舎
-
-
不器用な人ほど成功する / 中谷 彰宏
不器用な人ほど成功する (PHP文庫) 中谷 彰宏 by G-T