ペッサリーリング
2011.03.01(火曜日)
イーサイトヘルスケアのシステムでは curved PR が使えます。上はそれで作った80代女性の骨盤腔の CT の2コマ。
なにが写っているかわかりますか?
白いドーナッツみたいなものは尿道の背側、直腸の腹側、子宮の尾側にあるように見えますが、つまりは腟内にあるのです。
これを腟内のリングということで「避妊リング」とレポートに書いている放射線科医がいますが、
1 たいがい高齢の女性である
2 こんな大きなものが腟内に入っていれば、そりゃ避妊はできるが、かんじんの性交ができない
ということから、間違いですね。
性交はしたいけれど妊娠はしたくないから入れるのが避妊リングです(現在は IUD が主で、子宮内にあります。腟内でもなければリング状でもありません。ときどき子宮腔内に鎮座しているのが CT、MRI で写ります)。
性交ができなくなるような、こんな大きなものをわざわざ入れる人はいません。
じゃあ、何?
これは、ペッサリーリングなどと呼ばれていて、「子宮脱予防」のためのものです。
子宮が下垂して腟内にめり込み、ちょうど腸重積のように進展して、腟口から子宮頸部が顔を出すのが子宮脱です。
腟が裏返ってしまわないように左右に引き伸ばし、子宮が下行してきてもはね返すために、この大きなリングを腟に入れるわけです。
もし女性が意識障害で病院に担ぎ込まれて来て、これとは違う変なものが腟内に写ったら、なにかやばいものを密輸するためのカムフラージュカプセルが破損して、やばいものが血中に吸収されたのかもしれませんね・・・
注) 昔、ペッサリーと言って性交時に子宮円蓋にかぶせるものがありました。これは腟内にあるわけで、上記のペッサリーリングと紛らわしいですが、もっと薄くてCTにも写りません。
****
関連記事
-
もう非クラウド型遠隔画像診断は使いたくない・・・その理由
* もう時効かな、と思うので書きます。 * ちあきなおみではないが、あれは数年前・・・、私
-
非クラウド型遠隔画像診断システムの落とし穴
* 何度も書いているので、耳タコでしょうが、それでも非クラウド型で起業してしまう人が結構おられ
-
TeamViewer 遠隔画像診断への活用法(2)
以前も書きましたが、TeamViewer という遠隔操作ソフトの話です。 安全なトンネルを作り
-
医局と系列病院と人間爆弾
* 病院の勤務医の話ですが、ちょっとした病院(大きな病院、公立病院など)であればどこかの大学医
-
遠隔画像診断サービスの値段
* 遠隔画像診断サービスの診断料の価格設定ですが、 ほかより悪いかもしれないが、圧倒的
-
遠隔画像診断の起業で最も重要なポイントは最初の顧客
* イーサイトのクラウド型遠隔画像診断システム DICOM PASSPORT を使えば、後払い
-
遠隔画像診断の起業における戦略的3要素
ってのを、本日出勤途中の車中で思いつきました。 戦略レベルなので、戦術レベルとは違います。
-
原始舌下動脈遺残のMRA
* この10年間で3例目ですが、原始舌下動脈遺残です。 原始三叉動脈遺残はしょっち
- PREV
- クラウド型遠隔画像診断セミナー
- NEXT
- 毒書 いや 読書