プラスとマイナス
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放射線科医のレポートでの話。 「肝嚢胞(+)」とか「悪性腫瘍(-)」とか書いている人がいます。
「肝嚢胞がある」、「悪性腫瘍はない」という意味らしいですが、そもそも「+」と「-」には「存在する」、「存在せず」の意味はありませんよね。
Goo辞書などが採用している小学館提供の『デジタル大辞泉』では、
プラス [名](スル)
1 加えること。加算。「本給に手当てを―する」⇔マイナス。
2 a 加えることを表す符号。加号。「+」。⇔マイナス。 b 正数を表す符号。正号。「+」。⇔マイナス。
3 よいこと。また、よい面。「―に考える」「―に評価する」⇔マイナス。
4 ためになること。有益。「体験が―になる」⇔マイナス。
5 黒字。利益。⇔マイナス。
6 陽電気。また、その記号。「+」。「―極」⇔マイナス。
7 陽性。陽性反応。⇔マイナス。
マイナス [名](スル)
1 減じること。差し引くこと。「―成長」⇔プラス。
2 a 減じることを表す符号。減号。「-」。⇔プラス。 b 負数を表す符号。負号。「-」。「温度が―になる」⇔プラス。
3 よくないこと。また、悪い面。「―に評価する」「―思考」⇔プラス。
4 不利であること。不利益。損失。「彼の死は大きな―だ」⇔プラス。
5 赤字。欠損。⇔プラス。
6 陰電気。また、その記号。「-」。「―極」⇔プラス。
7 陰性。陰性反応。⇔プラス。
しか載っていません。
マイナスの5番目の「欠損」は「損失」のことでゼロという意味ではないです。
「プラスは正数だから存在するでいいじゃない」という人には、「マイナスは負数で、ゼロは含まない。存在しないことはゼロであるということで負数のことではないのはどうするんですか」 と訊きたいですね。
そもそも、「存在する」を「プラス」とした間違いが、「存在しない」を「マイナス」で表した諸悪の根元でしょう。
*
ここはちゃんと、「肝嚢胞あり」、「悪性腫瘍なし」と書きたいところです。
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