孤虫の意味を知っているかい
私は蟲師ではないが、寄生虫の話は大好き。 でも寄生虫そのものが好きではないので、ご安心を。
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孤虫という寄生虫の種類があって、人間にはマンソン孤虫、芽殖孤虫が寄生することが知られています。 今日はマンソン孤虫の話。
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孤虫という寄生虫の種属がいるわけではありません。
寄生虫では条虫、吸虫、裂頭条虫などが有名ですが、これらは生物学上の分類名であるのに対し、孤虫はこれらの固有名詞とは違い一般名詞なんです。
孤虫とは「孤児の虫」という意味。すなわち「親がわからない幼虫」という一般名詞であり、分類名ではありません。親が裂頭条虫かもしれないし、吸虫かもしれないのです。
じつは、マンソン孤虫はすでに親がわかっており、正式名称は「マンソン裂頭条虫の幼虫」なんです。
親がわかっているので、「マンソン孤虫」というのはもはや使ってはいけない死語です。 差別用語でしょうし。^^
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以前もどこかで書きましたが、マンソン博士が中国で奇病を発見しました。
と言っても現地の人がすでにとうの昔に発見しているわけで、コロンブスと同じく、西洋人が発見することが歴史上 「人間」 が発見するということ、という西洋人のゴーマンな発想なんですが。
この奇病は皮膚のコブが特徴的で、そのコブが移動するのです。
マンソン博士はこのコブの中から寄生虫を発見。 あちこちに移動するその性質から、人間には通常寄生しないなんらかの寄生虫の幼虫が惹き起こすと推測し、これをマンソン孤虫症と名付けたわけです。
このマンソン孤虫を生きたまま採取し、いろんな動物に植え付けて、最終宿主(イヌ、ネコなど)と親虫を明らかにしたのが日本の山田博士。
親、それは未発見の裂頭条虫でした。 マンソンさんが拾った孤児の親をつきとめたわけです。
通常なら山田裂頭条虫と名付けて、マンソン孤虫症は「山田裂頭条虫幼虫移行症」と改名されるべきものでした。
ところが山田博士は奥ゆかしい日本人でした。なんと自分が最初に発見したその親虫を「マンソン裂頭条虫」と名付けたのです。
中国人や虚栄心バリバリのヨーロッパ人、アメリカ人ならこんなことはしません。論文の捏造までする韓国人なら当然考えられません。
山田博士は謙譲の美徳に優れるすごい人だったのです。
山田博士の名は今では忘れ去られていますが、日本人ってほんとにすごい。誇りに思います。
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