マンソン孤虫のパパはバカボンのパパなのだ
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寄生虫の話を少し。
私は寄生虫疾患が大好きです。
以前ここでも「孤虫の意味を知っているかい」 という記事を書きましたが、その話。
孤虫とは
孤虫は生物学的な分類ではありません。
orphan worm、つまり”親のわからない幼虫”ということです。
素性がわからないので、分類上どこに分類したらわからないので仕方なく名づけただけなんです。
孤児になった複雑な事情
「親がわからないって? 昆虫の幼虫なんかはほおっておいたら自然に成虫になるからすぐわかるのでは?」
と普通の人は思うでしょうが、そんなムシのいい話ではなく、そこは寄生虫ならではのある事情があるのです。
寄生虫には世代によって宿主を変えるものがほとんどなんです。
ある動物からは幼虫しか見つからず、別の動物からは成虫しか見つからない、というわけです。
この両者の親子関係を明らかにするのが至難の業。
マンソン孤虫はヒトが宿主(じつは本来の宿主ではない)。でもその親は不明。なぜなら宿主がわからないので、見つからないのです。
親虫の宿主はヒトでないことはわかっていますが、どの動物なのかわからない。
哺乳類であることが多いですが、そうとも限りません。カニ、昆虫、貝(カタツムリ含む)かもしれないのです。
探しようがないじゃないか~
DNA分析は?
人間なら片親(普通は母)がわかっていて、父親が誰かを特定するのには使えますが、あくまで父親候補が存在してそのDNAが採取できないとわかりません。
存在していないDNAをどうやって調べられるの?
つまりマンソン孤虫の場合には無力。
そもそも有性生殖とは限らないしね。
日本人はすごい
話がそれましたが、マンソン孤虫の親は今ではわかっています。
日本の山田ハカセの功績によってです。
そのへんは以前の「孤虫の意味を知っているかい」 という記事に書いたので、そちらをごらんください。
あらましは・・・
マンソン博士が中国で見つけた寄生虫症に「マンソン孤虫症」と名付けたわけです。
このマンソン孤虫をいろんな動物に植え付けて、最終宿主(イヌ、ネコなど)と親虫を明らかにしたのが日本の山田ハカセ。
親虫は未発見の裂頭条虫でした。
通常なら山田裂頭条虫と名付けて、マンソン孤虫症は「山田裂頭条虫幼虫移行症」と改名されるべきでした。
ところが山田博士は自分が最初に発見したその親虫を「マンソン裂頭条虫」と名付けたのです。
バカボンという子供がいて、親を探したところ「バカ田フジ夫」という人が見つかったのに、その親を「バカ田フジ夫」と呼ばず「バカボンのパパ」と名づけたようなもの。
ちょっと違うか。
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前回とはオチを変えてみました(前回はオチをつけなかったので落ち着けなかった)。
これでいいのだ。
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