*

くも膜下腔と硬膜下腔

公開日: : 画像診断

 

所見をつけたら質問が来ました。

上のような症例で「硬膜下腔に液貯留あり」と書いたら、「脳表に静脈が見えるからくも膜下腔の開大では?」という質問です。

まあ、よくある疑問ですね。

くも膜のある位置を想定して線を描き込んでみました。

マウスを持つ手が震えてかなり蛇行していますが、実際はもっとなめらかなはずです。

ご指摘のように脳萎縮のためにくも膜下腔が開大していますが、そのさらの外側の硬膜下腔にも液貯留があるということです。

この例でははっきりしませんが、実際は脳脊髄液の拍動のためにくも膜下腔のほうがT2WIで信号がわずかに低下することが多いです。

脳の萎縮の程度は変わらないのに経過を追っているうちに片側の脳表の静脈が脳に近づいたりことがあれば、その表面の硬膜下腔の液貯留が増えたのだなとわかることがあります。

おまけ

これは別施設の方(萎縮なし)の T2WI ですが、頭蓋の内板(骨皮質なので無信号)の幅が前方と側方と後方とで違います。

これが chemical shift artifact で、脂肪(板間層)が水(脳脊髄液)に対して(あるいはその逆)周波数エンコードの方向にずれているのです。

機器や撮像法によってずれの大きさは変わってきます。

大きくずれて板間層の脂肪と脳脊髄液が重なると高信号になり、硬膜下血腫や硬膜下水腫に見えたりするので注意(最近の機器では、ずれの程度はきわめて小さく抑えられていますが、古い機械ではあるかもしれません)。

先ほどの症例では反対方向にずれていますが、モンロー孔レベルの横断像で見られるように、それほど大きなずれではないことがわかります。

###

関連記事

遠隔画像診断の起業 / 営業について(4)

遠隔画像診断の営業について、あまり語りたくありませんが、いくつかヒントを。 自己ブランドの確立

記事を読む

画像診断雑記に新しい症例を載せました / 「よくあるあれ?」

* 別サイトの画像診断雑記に新しい症例を載せました。⇒ 「よくあるあれ?」 こういうの。

記事を読む

no image

ひどい遠隔画像診断システム

 P■■社(イーサイトでもドクターネットでも医知悟でもありません)の遠隔画像診断端末が高槻

記事を読む

Focal Periphyseal Edema (FOPE) Zone / 膝だけかと思ったら手首にもあるのね

高校生ラガーマン。 舟状骨近位部の骨折の患者ですが、橈骨の骨端線に直行する 2本の線状硬化

記事を読む

とほほな画像診断システム

* これは前に書いたが、Yデンキ(ヤマダではありません)のシステムは ・最初のコマと最後のコ

記事を読む

画像診断医になるための必要最小条件

別に画像診断に限らず、全ての診断にあてはまる話です。 * 「Aという病気では aという画

記事を読む

no image

資金の要らない、失敗しない遠隔画像診断起業のノウハウ(別刷り請求について)

*  *  * 月刊 Innervision 11月号に掲載の拙文の 「資金の要らない、失敗し

記事を読む

no image

最低の遠隔画像診断システム

 以前ここでひどい遠隔画像診断システムと評した PS●社のシステムですが、今週に入ってかなりのレスポ

記事を読む

no image

いい遠隔どっと混む

* 「遠隔画像診断で失敗しない起業」をご提案ということで作った e-enkaku.com です

記事を読む

胸部レントゲンを読影していて「先生は胸部のCTも読めますか?」「えっ?」

* 以前アルバイトで、とある健診施設の胸部レントゲン写真の読影をしていたときのエピソード(以前

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

整備済み品東芝製ハードディスク届きました

整備済み品東芝製ハードディスク届きましたが、プチプチ封筒に素(す)で

HFM 口座開設成功

HFM (旧 HotForex)という業者に口座を開くことに成功しまし

みんなで大破さん

「みんなで大家さん」というあやしいスキームが問題になっています。 不

整備済み品東芝製 500GB ハードディスク(2.5インチ 内蔵型)

東芝 の HDD MQ01ABF050 です。2.5インチの 50

【FX】AXI Select は一番実入りのいい副業かも

AXI Select とは AXI という海外FX業者がみずから行って

→もっと見る

  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑