*

くも膜下腔と硬膜下腔

公開日: : 画像診断

 

所見をつけたら質問が来ました。

上のような症例で「硬膜下腔に液貯留あり」と書いたら、「脳表に静脈が見えるからくも膜下腔の開大では?」という質問です。

まあ、よくある疑問ですね。

くも膜のある位置を想定して線を描き込んでみました。

マウスを持つ手が震えてかなり蛇行していますが、実際はもっとなめらかなはずです。

ご指摘のように脳萎縮のためにくも膜下腔が開大していますが、そのさらの外側の硬膜下腔にも液貯留があるということです。

この例でははっきりしませんが、実際は脳脊髄液の拍動のためにくも膜下腔のほうがT2WIで信号がわずかに低下することが多いです。

脳の萎縮の程度は変わらないのに経過を追っているうちに片側の脳表の静脈が脳に近づいたりことがあれば、その表面の硬膜下腔の液貯留が増えたのだなとわかることがあります。

おまけ

これは別施設の方(萎縮なし)の T2WI ですが、頭蓋の内板(骨皮質なので無信号)の幅が前方と側方と後方とで違います。

これが chemical shift artifact で、脂肪(板間層)が水(脳脊髄液)に対して(あるいはその逆)周波数エンコードの方向にずれているのです。

機器や撮像法によってずれの大きさは変わってきます。

大きくずれて板間層の脂肪と脳脊髄液が重なると高信号になり、硬膜下血腫や硬膜下水腫に見えたりするので注意(最近の機器では、ずれの程度はきわめて小さく抑えられていますが、古い機械ではあるかもしれません)。

先ほどの症例では反対方向にずれていますが、モンロー孔レベルの横断像で見られるように、それほど大きなずれではないことがわかります。

###

関連記事

臨床画像 2017年3月号 Q & Aでおさえる vascular imaging 最重要ポイント

こちらでバックナンバーが買えます(Fujisan.co.jp)臨床画像 2017年3月

記事を読む

2015/12/11 画像診断メモノート更新

久々に画像診断メモノートを更新しました。 と言っても、件数は 1532 で 10程度しか増えて

記事を読む

木の芽サイン

よく tree in bud sign という言葉を目にします。 でも tree in bud

記事を読む

医局と系列病院と人間爆弾

* 病院の勤務医の話ですが、ちょっとした病院(大きな病院、公立病院など)であればどこかの大学医

記事を読む

画像診断雑記に新コーナー

* * * 画像診断雑記、新コーナーを作成しました。 興味がある人はどうぞ。 * * *

記事を読む

遠隔画像診断 / サーバーの管理

* 遠隔画像診断サービスを自分で行う場合ですが、 サーバーの管理が大変そう というご質

記事を読む

spared lesion は間違い

* 脂肪肝で、周囲より脂肪浸潤の少ない領域が見られることがあります。 血管支配によることが多

記事を読む

もう非クラウド型遠隔画像診断は使いたくない・・・その理由

* もう時効かな、と思うので書きます。 * ちあきなおみではないが、あれは数年前・・・、私

記事を読む

イーサイトの読影環境がリニューアル

私のメインの環境であるイーサイトの遠隔画像診断システムでは、現在3つのサーバーを使っています。

記事を読む

無料の遠隔画像診断 (ただしお試し 月5件)

専用システム不要の遠隔画像診断 以前、個人ベースの遠隔画像診断 という記事で、専用システム不要

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最後の万博へ

本日、ワタシ的には最後になるであろう 閉会まであと1週間あまりの万博に

【FX】Fintokei 入門プランを無料で試してみる

プロップファームの Fintokei のチャレンジプランの二次試験の経

【FX】Fintokei の「入門プラン」

プロップファームの Fintokei に「入門プラン」という新しいコー

【FX】AXI いい感じ

海外FX業者である AXI のプレミアム口座を開いたのが先月の 29日

【FX】Fintokei 豹変す

プロップファームの Fintokei ですが、私はパール(500万円コ

→もっと見る

  • 2025年10月
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑