大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す / 久坂部 羊
![]() |
大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す (幻冬舎新書) 久坂部 羊 幻冬舎 2006-11 売り上げランキング : 137682 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★★
2回め読了。
久坂部 羊(くさかべ よう)さんは阪大出身の元医者の小説家。
現状分析が的確で、一般人に読んで欲しいと思います。
とにかく内容はしごくまともです。
タイトルが最悪なので売れないとしたら非常に残念です。
副題に「医学部が患者を殺す」とあるが、内容を読むと、「患者が医学部を殺す」と言ったほうがいい。
それから「大学病院のウラは墓場」というのは「大学病院のウラは患者の墓場」という意味ではなく、「大学病院のウラは医師の墓場」という意味も含んでいるのではないかと思います。
*
新研修医制度で大学に研修医が入らなくなり、医局は配下の病院から医師を引き上げ、結局地方の病院に医師が行かなくなったわけです。
医局の押しつけがなければ誰が僻地の病院に行くというのか。研究はできない、学会には行きにくい、生活に不便、子供の教育によくない。何一つメリットはない。
地方の人は自治体が力不足とか医師の不心得が原因と言うが、自分が医師なら他に山ほど条件のいい病院があるなかで、わざわざそこの病院に行くか、よく考えてください。
自分の出身地でもなく、見知った人が一人もいない辺鄙な町になぜ医師が来るのでしょうか。教授に脅されていたからしぶしぶ来ていたわけですね。
今までが棚からボタモチだったわけ。棚が修理されてしまったので、これからはボタモチは自分で買わないと得られないということです。
*
とにかく、無責任なマスゴミ(眛日、浅非)の尻馬に乗って医師の悪口を言っていたら、バカなお役人がとんでもない事態を始めてしまったわけです。
国民みんながきちんと考えた上で方策をたてないと、どんどん地方には住めなくなるということです。
都市部のそこそこの町でも子供が産めない、小児科医はいない、ガンを上手に切れる医師がいなくなっているわけですから。
*
この本で示される大学病院の解体案には概ね賛成できますが、世間の人の大学病院偏重傾向(=盲信)を直してからのほうがいいですね。
え、盲信を直すとボロボロなのがまるわかりで、訴訟だらけになるかも?
なるよね。
###
関連記事
-
-
「努力は報いを受ける」ことも
昨日の記事” 「努力は必ず報われる」は間違い ”で書き忘れたのですが、努力の方向自体が間違ってい
-
-
はじめての人のための3000円投資生活 / 横山光昭
★★★☆☆ ブックオフに行ったら 110円で売っていたので買いました。 投資初心
-
-
家康、江戸を建てる / 門井慶喜
★★★☆☆(面白~い) この後に書いた『銀河鉄道の父』で直木賞をもらった門井さんの連作短編
-
-
新・臆病者のための株入門 / 橘 玲
★★★★☆ 旧版も読んだのですが、新NISA 対応というだけあって、だいぶ新しくなっていま
-
-
新・貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する / 橘玲(2)
以前の記事「新・貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する / 橘玲」の続きです。
-
-
前例のないことにチャレンジしよう
昔、公立病院に勤務していたときに放射線科部長であったため、いろんな会議に参加させられました。
-
-
月蝕島の魔物 / 田中 芳樹
月蝕島の魔物 (ミステリーYA!) 田中 芳樹 理論社 2007-07 売
-
-
嘘だらけの日韓近現代史 (扶桑社新書) / 倉山 満
嘘だらけの日韓近現代史 (扶桑社新書) 倉山 満 扶桑社 2013-11-30
-
-
日本史の謎は地政学で解ける / 兵頭二十八(3)
「日本史の謎は地政学で解ける / 兵頭二十八(2)」の続きです。 * ロシアが満州にこだ
-
-
節目に強い人が成功する―あなたの「格付け」をアップする44の具体例 / 中谷 彰宏
節目に強い人が成功する―あなたの「格付け」をアップする44の具体例 中谷 彰宏







