大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す / 久坂部 羊
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2回め読了。
久坂部 羊(くさかべ よう)さんは阪大出身の元医者の小説家。
現状分析が的確で、一般人に読んで欲しいと思います。
とにかく内容はしごくまともです。
タイトルが最悪なので売れないとしたら非常に残念です。
副題に「医学部が患者を殺す」とあるが、内容を読むと、「患者が医学部を殺す」と言ったほうがいい。
それから「大学病院のウラは墓場」というのは「大学病院のウラは患者の墓場」という意味ではなく、「大学病院のウラは医師の墓場」という意味も含んでいるのではないかと思います。
*
新研修医制度で大学に研修医が入らなくなり、医局は配下の病院から医師を引き上げ、結局地方の病院に医師が行かなくなったわけです。
医局の押しつけがなければ誰が僻地の病院に行くというのか。研究はできない、学会には行きにくい、生活に不便、子供の教育によくない。何一つメリットはない。
地方の人は自治体が力不足とか医師の不心得が原因と言うが、自分が医師なら他に山ほど条件のいい病院があるなかで、わざわざそこの病院に行くか、よく考えてください。
自分の出身地でもなく、見知った人が一人もいない辺鄙な町になぜ医師が来るのでしょうか。教授に脅されていたからしぶしぶ来ていたわけですね。
今までが棚からボタモチだったわけ。棚が修理されてしまったので、これからはボタモチは自分で買わないと得られないということです。
*
とにかく、無責任なマスゴミ(眛日、浅非)の尻馬に乗って医師の悪口を言っていたら、バカなお役人がとんでもない事態を始めてしまったわけです。
国民みんながきちんと考えた上で方策をたてないと、どんどん地方には住めなくなるということです。
都市部のそこそこの町でも子供が産めない、小児科医はいない、ガンを上手に切れる医師がいなくなっているわけですから。
*
この本で示される大学病院の解体案には概ね賛成できますが、世間の人の大学病院偏重傾向(=盲信)を直してからのほうがいいですね。
え、盲信を直すとボロボロなのがまるわかりで、訴訟だらけになるかも?
なるよね。
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