*

石綿肺の間違った使い方

公開日: : 画像診断

石綿肺(アスベスト肺)とは、アスベストの高濃度曝露によって発生する塵肺のことです。

病理組織学的には、細気管支周囲から始まるびまん性間質性肺炎であるとされています。

*

本日もあったのですが、開業医からの依頼で「石綿肺」との診断名がつけられており、フォロー目的の胸部 CT が撮られていました。

左右の胸膜にはプラークがあり、そのほとんどが石灰化を伴っています。

横隔膜面にもあり、結核性胸膜炎ではなく、石綿関連胸膜病変と言えます。

ところが、肺野には全く線維化病巣がありません。

この状態は. 石綿関連胸膜病変のみで、石綿肺ではありませんね。

*

お年を召した高齢の開業医さんはCTのない時代に医師を始めた方が多く、当時の胸部レ線のみの診断学で診断されているケースがあります。

レ線では石綿関連胸膜病変はわかっても、石綿肺の所見を伴っているかどうかはわかりにくいことが多いです。

石綿肺は蜂窩肺を作りにくく、小葉間隔壁主体の微細な線維化で始まるケースが多く、こんな病変はレ線ではまずとらえられません。

ですから、

  1. 石綿関連胸膜病変のみ
  2. 石綿関連胸膜病変と石綿肺とが共存

の2つの区別(時間とともに1→2に進展)をしないで「石綿肺」と呼んでいる開業医が結構多いです。

*

私は CT の所見を書くときに1のときは、

「石綿関連胸膜病変のみで、いわゆる石綿肺(石綿による肺野の線維化病変)は現時点では見られません。」

と、クドーく書いて返すことが多いです。

###

関連記事

画像診断報告書のコピペについて(続)

前回はこちら>画像診断報告書のコピペ 他人の書いた過去所見のコピペが非常識な行為なのか 前

記事を読む

圧排と圧迫

* 画像診断の所見を書くときに、「圧排」と「圧迫」とをしっかり使い分ける方がいいと思います。

記事を読む

『遠隔画像診断起業への道』メルマガテスト配信開始予告(2)

しれっとメルマガ名が変わっていますが、『遠隔画像診断起業への道』というメルマガは テスト配信をぼちぼ

記事を読む

個人ベースの遠隔画像診断[3] / 番外編

遠隔画像診断会社に属さなくても、個人レベルで遠隔画像診断を行うことは可能です、ということを言いた

記事を読む

遠隔画像診断の起業の心得その1

   ネタばれしてしまうのでテラークのメンバー以外にはあまりお教えしたくありませんが

記事を読む

「画像診断雑記」を正式に始めました

*  *  * 【上位版】次世代型サイト作成システム「SIRIUS」 上記のソフトで作っ

記事を読む

「画像診断雑記」サイト更新 / 以前からの頚部痛

「画像診断雑記」サイトを久々に更新しました。 ⇒ 「画像診断雑記」 以前からの頚部痛 こ

記事を読む

画像診断管理加算バブルの崩壊の影響(3)

前回はこちら⇒ 画像診断管理加算バブルの崩壊の影響(2) 地方の中核病院の場合 画像診断管理加

記事を読む

粘液栓 mucoid impaction について

* ときどき他の人のCT所見で、気管支内にたまった液状物を「粘液栓」と書いておられるのを見るこ

記事を読む

Grant’s Atlas of Anatomy, International Edition〈日本向けインターナショナル版〉

Grant's Atlas of Anatomy, International

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

MUSE すごい

Meta の AI エージェントである MUSE はなかなかすごいです

歌川広景『江戸名所道戯尽』に基づいた『Comic Edo』を上梓しました

幕末の浮世絵界に突如現れ、わずか2年あまりで姿を消した謎の絵師 歌川広

Gemini の思考モデルの違い(画像解釈編)

歌川広景の『江戸名所道戯尽 八 隅田堤の弥生』という版画をご紹介。

Google AI Pro で制限くらう

Google AI Pro という月額 2900円のコースに入っていま

幻の浮世絵師歌川広景

幕末の浮世絵界に突如現れ、わずか2年あまりで姿を消した謎の絵師 歌川広

→もっと見る

  • 2026年11月
    月 火 水 木 金 土 日
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30  
  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑