大震災の後で人生について語るということ / 橘 玲
公開日:
:
読書
![]() |
大震災の後で人生について語るということ 橘 玲 講談社 2011-07-30 売り上げランキング : 300539 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
橘玲(タチバナ アキラ)氏の 2011年の著書。
東北大震災の後にどう生きるかという哲学的な主題で最後までいくのかと思ったら、途中で経済的ないつものお話になっていきます。
具体的に言うと、この本はパート1とパート2からなり、前者では戦後の4つの神話(不動産神話、会社神話、円神話、国家神話)が崩壊してきたいきさつを解説。
後者ではいつもの投資戦略についての解説が主です。
伽藍とバザール
伽藍とバザールという対立概念が出てきますが、他の著書でも触れられていました。
少しわかりにくいですが、伽藍はみんながおとなしく共存する社会形態を示し、会社などが例に挙げられます。
バザールは大声をあげて客をたくさん集めたほうが有利な社会形態で、自由業がこれに該当します。
伽藍では目立たずミスをしないことが生存戦略の基本になります。伽藍から放り出されると生きていくことが難しいからです。
バザールではとにかく自分の長所を売り込むことが大事。
大震災後の不確実な世界では伽藍でさえ安定した安全な場所ではなく、伽藍からバザールに移行することが重要な戦略になってきます。
サラリーマンから自営業者ですね。
人はなぜマイホームを求めるのか
いつもと同じ、家の購入と賃貸とはどちらがトクかという話が出てきますが、この本で新たに付け加えられたことは、「人はなぜ賃貸住宅でなくマイホームを求めるのか」という問いの正解です。
その答えは、遺伝子に染み付いた「縄張り感覚」による、というもの。
縄張りを守らなかったものの子孫は自然淘汰されていなくなります。
縄張りを守ったものの子孫は繁栄し、その繁栄を維持するために各自が縄張りを守ることが正義だと感じるようになりますね。
*
ほかにもナッシュ均衡、日本政府の財政破綻、アメリカの雇用制度など着眼点の変わった面白い解説が読めます。
知的興奮を求めている人には一読をおすすめします。
###
関連記事
-
-
バカが国家をやっている / 勝谷 誠彦
バカが国家をやっている 勝谷 誠彦 扶桑社 2008-10-28 売り上げ
-
-
ものがたり 唐代伝奇 / 陳舜臣
ものがたり 唐代伝奇 (中公文庫) 陳 舜臣 中央公論新社 2008-12 売
-
-
Webキャンペーンのしかけ方 / 渡辺英輝 阿部晶人 螺澤裕次郎 伊藤直樹
Webキャンペーンのしかけ方。 広告のプロたちがつくる“つぎのネット広告” 渡辺
-
-
ギャラリーフェイク the best / 細野 不二彦
ギャラリーフェイクthe best (ビッグコミックス) 細野 不二彦 小学
-
-
ふたりだけのSeason (2) / わたせせいぞう
ふたりだけのSeason (2) (角川文庫―わたせせいぞうコレクション) わた
-
-
知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 / 橘 玲 (5)
★★★☆☆ 昨日の記事「知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 / 橘 玲 (4)」
-
-
最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考 / 一条真也
最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考~一流の思考を身につける!47の実
-
-
本当は世界一の国日本に告ぐ大直言 / ケント・ギルバート
★★★☆☆(日本礼讚本ではありません) 3つの巨悪である「メディア」、「官僚」、「護憲
-
-
中国大自滅 世界から排除される「ウソと略奪」の中華帝国の末路 / 渡邉哲也, 福島香織
★★★☆☆ マスゴミが伝えられないチャイナさまの弱点、汚点がこれでもかと晒されています
-
-
ゑゐり庵綺譚 / 梶尾 真治
ゑゐり庵綺譚 (徳間文庫) 梶尾 真治 徳間書店 1992-02 売り上げ
- PREV
- イーハトーヴォ日高見 / 姫神
- NEXT
- La Mer / Trois Nocturnes