日本は世界1位の政府資産大国 / 髙橋洋一 (2)
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読書
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日本は世界1位の政府資産大国 (講談社+α新書) 高橋 洋一 講談社 2013-10-22 売り上げランキング : 264804 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★★(日本国民全員読むべし)
続きです。
元・財務省官僚の高橋洋一さんが財務省の関わる悪事を暴露してくれています。
ちなみに p79 に財務省をこれだけ強力にしたのは政権をとった民主党だと書いてあります。
いわゆる埋蔵金
政府の資産・負債に関わる悪事は前回述べましたが、今回はいわゆる”埋蔵金”に関わる部分にスポットをあててみましょう。
埋蔵金とは企業にあてはめると内部留保にあたる分。
300兆円は容易に捻出できる
2013年時点で、特殊法人や独立行政法人の数は 4500もあり、25000人の官僚が天下りしているとか。
これらの法人が持っている現ナマ(金融資産)は 428兆円もあり、これらの法人は認可したり中抜きをしているだけなので経営状態は非常に良好ですので、こんな巨額の金融資産はそもそも必要がないのです。
そのうち 300兆円は政府に返納させても全く問題がないとのこと。
ほかにも不要に積み立てている分(退職金など)を返納させたり、特殊法人自体を民営化(株式会社化)してその株式を上場して政府に売買益を入れていけば、健全に埋蔵金を現金化できるようです。
以前民主党政権時に、今をときめく蓮舫が財務省のウソを信じ込んで「埋蔵金でなく埋蔵借金」と騒いでいたようなことはないと、財務省でそれらの政策を以前から立案していた(財務省トップに潰された)著者は断言しています。
一等地にあるオフィスや官舎
官舎やオフィスが東京の一等地を占めている省疔や特殊法人も多いので、それらを郊外に移せば売買益はかなりのものになるそうです。
しかも現在これらの官舎やオフィスの利用率がそれほど高くないようで、民間に売却してやれば採算が合うように合理的に運用されます。GDP にも貢献するでしょうね。
公営ギャンブルの民営化
JRA のような公営ギャンブルも民営化すれば現在のような法外なテラ銭を取ることも難しいでしょうから、国民も大喜び。
外為特会も大きすぎる
外為特会も変動相場制であり為替操作をしないのですからこんなに(113兆円も)要りません。
日本の場合、為替操作をしてもその効果は限定的ですぐに消失し、無駄になってしまう(外国を利するだけ)ので余計に減らしたほうがいいようです。
しかも請け負っている金融機関(これがどこかは財務省の3人以外には秘密扱いだそう)にスプレッド分+アルファの手数料を払わなければいけません。
外為特会は海外の政府系金融株の購入にあててはいかがかという提案もされています。相手国に安定株主となることで恩を売れるという効果もねらえるからと。
GPIF
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)には運用ノウハウはまったくないそうです。
複数の民間金融機関に丸投げしているだけということです(請け負っている金融機関は手数料だけでウハウハ)。
なにせこの GPIF には職員は 75人しかいないのです。金額当たりの職員数は他の国より2桁少ないので、この 75人が運営できるわけはない(つまり何もしていない)のはまあ明らかなんですね。
*
まあ、読んでみればいかに国民を愚弄している話かわかります。
普通の会社なら赤字になりそうなら資産を売ってその場しのぎをします(あるいはそれを担保に借金します)が、政府の場合は資産を売らずにまず増税を考えるのです。
なめとんのか。はい、そのようです。
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