【FX】なかなかすごいブレイクアウト Inquisition Breakout EA
公開日:
:
最終更新日:2024/01/13
マネー
Inquisition Breakout EA(Expert Advisor)はアメリカのとあるサイトで拾ってきたものです(ググればだれでも入手できるはずです)。
なかなかおもしろそうなので、バックテストをとってみました。
紹介している人の解説では
- グリッド、マーチンゲールを使用しない
- 注文は同日(日本では翌日1:30AMごろ)に決済されるデイトレードタイプ
- トレーリング ストップを使用して利益を伸ばす
- 単ポジ
- GBPUSD 1時間足が最適(ほかの通貨ペア、時間足でも動作可能)
という特徴(特長)があります。
紹介者は触れてはいませんが、バックテストから推測するに その日の東京時間のレンジからのブレイクアウトに乗っかるもので、
- 東京時間の終わりにバイ・ストップ注文とセル・ストップ注文を出す
- 通った注文に対してトレーリングストップで利益を伸ばす
- もし深夜にポジションが残っていれば強制決済される
というのが大まかな動作のようです。
2013/3/5-2024/1/1 のバックテスト(GBPUSD 1時間足 初期証拠金 10000$ オートロット)では、
純益 51916$(6.1倍) プロフィットファクター1.46 勝率90.00%とまあまあなパフォーマンス。
最大ドローダウン 30.85%なので破綻を回避するにはもっとロット数を減らさないといけません。
東京BOX からのブレイクアウトでトレーリングストップ付きの EA は私も自作したことがあり、勝率は 70%を超えなかったですが、プロフィットファクターは 2.5 程度だったような。
紹介者は触れていませんが、リカバリー機能というものがついており、それをオンにするとマーチンゲール風の動作(負けた後にロット数を変更する、ただし、どのようにするかはこちらが設定できる)をします。
上記の結果はこれをオンにして最適化したもので、オフにすると下のような結果になり利益が激減してしまいます。最大ドローダウンは低下するのですが、これほど減るとあまり意味がないかも。
*
最大ドローダウンが破綻確率そのものではありませんが、ある程度反映しているものです。
ドローダウン=破綻確率と仮定すると、10%なら 10口座のうち 1口座破綻する(海外口座ではゼロカットなので追証はない)としても 9口座は走りきって 2倍になるので、全体では 1.8倍になるわけですね。
ドローダウン30%でも、破綻しなかった口座が 6倍になるなら全体では 4.2倍になるわけです。
ナンピンマーチン系EA によくあるドローダウン90%ならば、破綻しなかった口座が 10倍以上のパフォーマンスを示さないと全体でプラスになりません。
つまり複数口座で運用することはマストであって、ドローダウン90%のものを単一口座で運用すると 90%の人がゼロカットを食らうのは当然中の当然(必然)なわけです。
破綻率の高いEAを単一口座で運用して「破綻したぞ」と文句を言っている人がよくいますが、当たり前のことに対して当たり前の結果を述べているだけで、「宝くじを 1枚買ったが全然当たらなかったぞ」と文句を言っていることに等しいです。関西では「で?オチは?」と言われて終わり(=オモンないヤツと一生思われる)です。
まとめ
単ポジということだけでかなり安心ですし、勝率は高いので運用する期間にはココロは平和に保っておけるというのがおすすめポイントでしょうか(勝率が低い EA はココロが挫けてずっと運用するのが難しいです)。
- ポジションの保有時間も最大 8時間30分ですし、残りの時間はノーポジです
- しかも勝率が高いということは含み損を抱えることももまれということです
- ナンピンマーチン系のように膨らみ続ける含み損で胃に穴が開くことも減るでしょう
- ノーポジのときにロット調整ができ、それが次から即座に反映されるのも利点(破綻しにくい理由の1つ)
ただし、損小利大ではなく損大利小に近いので、ロット調整を間違えると(とくにオートロットなら)まれにドカンと致命傷をくらうことがあるかも。
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【FX】なかなかすごいブレイクアウト Inquisition Breakout EA(2)
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Comment
はじめまして。
たまたまこちらのInquisition Breakout EAの記事を拝見しまして、バックテストをしてみたのですが、私が試したところでは50%程度の勝率にしかなりませんでした。
何か設定をカスタマイズされて使っていらっしゃいますか?
大変恐縮ですがご教授いただけましたら幸いです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
私の場合は特に値動きの激しい通貨ペア(現在はドルストレートなど)の場合はバックテスト期間を短くして最近の動向にオーバーフィットするように運営しています。長期安定運用を目指しているわけではないので。
ただし、破綻は嫌なので危険な設定(マーチンゲールやオートロット)はなるべく使わずという方針です。
Inquisition Breakout GBPUSD 1H に対しては現在下のような設定で運用していますが、連敗するようならすぐに直前3-4週間に適した設定に変更する予定です。
http://yiwasaki.com/fx/240120Inq_GU1H.png
なお、これは exness 用の設定なので時刻の設定が特殊(他社のサーバーでは 2時間進めないといけないことが多い)です。
追加です。
バックテストは長期でしないとだめというのが常識ですが、最近だけでもコロナ前、コロナ期、ウクライナ戦争前後で世界経済は著しく変わっています。
ファンダメンタルが決定的に違う昔のデータにも合わせなければいけないというのは正直おかしいと思います。テクニカルはファンダメンタルに勝てないわけですから。
あと、アノマリーとして月特性や季節特性(ファンド運用者の都合による)も重要で、「●月にはこうなる」という傾向が強ければそれに合わせるのがスジで、傾向が全く反する月を含んでのパラメーターを決める必要はないですよね。
私の経験では、毎週パラメーターを変える(前月のみでパラメーターを決める)ことでかなり成績を改善することができると思います。オーバーフィッティングがいかんという原理主義者がいますが、EA がこの週だけでもうまく働けばいいのです。
下は別の EA になりますが、Evening Scalper Pro だけをマルチ通貨ペアで運用しているフォワードテストです。
http://yiwasaki.com/fx/240120DetailedStatement.htm
この EA も毎週、直近約 3週間分のデータでパラメーターを変更しています。
同様の口座を 14個ほど運用していますが、そのうち 12はうまく運用されています(2つはスプレッドが広かったり、試験的に他の EA を試したこともありやや軟調ですが)。
お忙しいところ、詳しく教えて頂いてありがとうございます(気付くのが遅くなり申し訳ありません)。
取り急ぎ、教えて頂いた設定で試してみたところ高勝率で良い結果が得られましたので、調整しながら追い込んでみたいと思います。
EAに関しては本を一冊読んだくらいの知識しかなかったので、やすきーさんのバックテストの考え方や運用方法は目から鱗でした。
Evening Scalper Proの結果もすごいですね。
こちらもまた調べてみたいと思います。
ありがとうございました!
間違えてほしくないのは、どの EA でもこれが成立するとは限らないということです。
トレンドフォロワー系ならどれくらいの周期のトレンドをとろうと思っているかに関係します。例えば 6ヶ月で終わりそうなアップトレンドがすでに 2か月分経過しているのなら、直前1ヶ月くらいでフィッティングすればあと 3-4か月はそれを微修正するだけでいけそうです。もっと小さな時間足(レンジ内の小トレンドがターゲット)なら当然もっと頻回のパラメーター変更が必要になります。
投資者心理(ダウ理論など)に基づくEAならそれほど時期により変わらないので、より長めの期間でパラメーターを決めればいいです。
グリッド系の場合はトレンドが出て網からはみ出ると含み損が出るので、週足でレンジを想定してその上限では新たな売りポジションは制限する、週足レンジを超えるのに備えて別のブレイクアウト系EA を仕込んでおく、適切な損切りを行うなど種々の工夫が必要になります。
ようは EA のみでラクをしようとするのではなく、裁量などの知識も織り込んで柔軟な運営をすることが大事だということです。
「EA には賞味期限があり、ある時点から勝てなくなる」という傾向はありますが、パラメーターを変えたり、時間足や通貨ペアを変えたり、うまくいく時期を絞ったり、含み損を打ち消すような他の EA と組み合わせたりとかで使い続けられる場合もあります。それには内部構造や動作をある程度推測する必要がありますが。
私の使っている Evening Scalper Pro はかなり古いバージョン(9.50)のようですが、まだまだ現役です(損切りはほとんどしないので「ロット調整なし」と「ナンピン回数小」で使わないとすぐ破綻しますが)。
ありがとうございます。
EAに興味を持ったものの、調べていると長年勝ち続けているEAが見当たらなかったので、やはりEAで稼ぎ続けるのは難しいのかなぁと思い始めていたところだったのですが、やすきーさんのお陰で希望が見えてきました。
EAをメンテしつつ運用ですね。
本当に勉強になります。
こんばんは。
2月5日にkot〇〇〇.yas〇〇〇〇@gmail.com宛にメールを送らせて頂いたのですが、ご覧頂けましたでしょうか?
kotaro.yasuiwa のアカウントが半分死んでまして、その中の迷惑メールフォルダに入っておりました。
そちらのサーバーから返信いたします。
よろしくお願いします。