逆説の日本史16 江戸名君編(2)
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逆説の日本史16 江戸名君編 (小学館文庫) 井沢 元彦 小学館 2013-06-06 |
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前の 逆説の日本史16 江戸名君編 で書きましたが、後半部分です。
後半は江戸時代(上方、江戸)の文化について。
俳諧・歌舞伎・落語といった江戸文化は最初上方で花開き、それが江戸にも伝授され、江戸で独自の(と言うほどの差異はないとも思いますが)文化を作りました。
この文化のおかげで、日本人の識字率の高さがさらに高められます。
日本人の文盲の少なさの理由を寺子屋に求める人が多いですが、井沢氏はもっと古い時代から大きな変革があったのだとします。
それは平家物語と太平記。源氏物語ではありません。
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文字を知らない大衆にどうやって文字を教えるのかは大きなテーマです。
文字と発音、意味とは本来なんの関係もないものだからです。
それにはまず、音曲化して口語文(ひらかな)を耳に染み込ませ、こんどはそれを字(漢字)にあてはめるというステップを踏む必要があります。
まず大量の「意味のわからない音のつながり」を蓄積させ、それを文字化させることによって肉付けをする。
そのためのテキストとして「平家物語」は実に適していた。
日本以外にはこのようなものはなかった。だから世界に先んじることができた。
源氏物語は「書き物」なので「目で見る」しかない。つまり、字を知らないと理解できないのです。
平家物語は字を知らない大衆でも理解ができるという点で、源氏と平家はまさに正反対なんです。
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印刷技術もない時代に庶民に広めるには多数の琵琶法師(西洋の吟遊詩人、昭和の紙芝居屋さんのようなもの)という「生きたテキスト」が利用されたのです。
琵琶法師は盲目ですから、書を使って教えられない。
かえってそれがよかったわけです。
文字だけではおもしろくないので、音楽をつけた。
音のついた文章というというと、歌の歌詞のようなもの。
最近イタリア語の歌を耳コピで歌っていますが、それから歌詞を見れば、ああこういう発音でこういう意味だったのか、とよくわかります。
こういう素地が平安時代から庶民階級にもあった。
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あとは「平家物語の××というのはこういう字をあてて、こういう意味だよ」と教えればいいわけです。
「ああ、あれってこのこと」という発見はひどく楽しいものです。学習意欲がわきます。
こういう素地がないと、「この字はこう読んでこういう意味に使われる」と、全く知らないことを丸暗記しないといけなくなります。おもしろくないでしょ。英語ができない生徒によくあるパターンです。
私は小学校の頃にビートルズの洗礼を受けたので、中学校の英語の授業はむちゃくちゃおもしろかったです。
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昔の人は、漢文もそうやって耳から覚えさせられて、後から字に落とし込むという方法をとっていました。
そういう意味ではあの英語教材「スピードラーニング」も理にかなったやり方かもしれませんね。聴くだけでは半分で、後から字に落とし込まないといけませんが。
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