青池嚢胞 Aoike’s cyst 再び (2)
公開日:
:
最終更新日:2016/04/05
画像診断
また青池嚢胞を見かけました。 18歳男性。
主訴とは関係ないです。
腓骨遠位の前面の皮質が陥凹しているだけで、骨嚢胞ではありません。
1956年のCTもない時代に、単純レ線の正面像で嚢胞に見えたので、青池嚢胞と呼ばれています。
青池は発表者の名前です。
*
この部分には前脛腓靱帯が付着しています。
MRI では
陥凹部には T1強調画像もT2強調画像も低信号の組織があります。
前脛腓靱帯が肥厚しているような印象ですが、靱帯のみにしてはやや不均一です。
靱帯周囲や靭帯内部の線維化巣(靱帯損傷後の外傷後変化)や器質化血腫なども存在するのかもしれませんが、病歴には書いてありませんでした。
私が前回見た60歳代男性の症例では、液貯留腔が靱帯の近くにありましたが、この症例では見られません。前回は靱帯ガングリオンが原因かと思ったのですが、この症例ではあてはまりません。
靱帯を通して脛骨からの慢性的な力学的ストレスが伝わって erosion をきたしているのでしょうか。鎖骨頭に見られる菱形窩のようなメカニズムです。
靱帯の形態、太さ、方向、損傷の有無なども考慮に入れた方がよさそうです。
*
この症例では「腓骨遠位前面の陥凹は”いわゆる青池嚢胞”ですが、病的意義はないので無視してください。」と書いておきました。
【関連記事】
###
関連記事
-
若手整形外科医のための画像診断-症例から学ぶ治療診断の立て方 (「関節外科」2013年 04月号増刊)
関節外科基礎と臨床増刊 若手整形外科医のための画像診断-症例から学ぶ治療診断の立
-
LLP テラーク 方針
遠隔画像診断医師組合LLPテラークの方針は以下のとおりです。 メンバーに対する規約のような
-
baserCMS でつくったホームページ
* 私が baserCMS という無料のコンテンツ管理システムを使って最近作ったホームペー
-
原始舌下動脈遺残のMRA
* この10年間で3例目ですが、原始舌下動脈遺残です。 原始三叉動脈遺残はしょっち
-
久々の非クラウド遠隔画像診断システム
高槻遠隔画像診断センターで新しい仕事が始まりました。 今てんやわんやです。 非クラウドシステム
-
平和な連休・・・にしたいですね
* 東京のほうで震度5の地震があったようですね。 連休のため高速道路は相変わらず混んでいるよ
-
非クラウド型遠隔画像診断システムの落とし穴
* 何度も書いているので、耳タコでしょうが、それでも非クラウド型で起業してしまう人が結構おられ
-
ばかげた遠隔画像診断システム(続き)
* 前回書いた遠隔画像診断システムですが、使用料金がかなり安いので結構導入されている方が多いも
-
画像診断2017年7月号 側頭骨領域の画像診断
画像診断2017年7月号 Vol.37 No.8 画像診断実行編集委員会 学研プ