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無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 / 吉本 佳生

公開日: : 読書

無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書) 無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書)
吉本 佳生
筑摩書房 2011-09-05
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★★★☆☆(無料ビジネスの真のポイントがわかるかも)

無料ビジネス

クリス・アンダーソンの名著『フリー』以降、無料ビジネスが世に認知されました。

無料でビジネスが成り立つわけがないというのが従来からの常識でしたが、最近はオンラインビジネス以外でもよく見られるようになっていますね。

この本は無料ビジネスについて簡単に解説し、さらに深い考察を提示しています。

結構考えさせられて面白い本です。

ローン型と株式型のビジネスモデル

世間で見られる無料ビジネスをこの本では2種類に分類しています。ローン型と株式型だそうですが、そう言われてもピンときませんね。

ローン型とは「個々のお客さんとの取引において一時的に無料で何か(商品や景品)を提供するが、ある期間たてば利益になるという、従来からよくあるタイプの商売」で、どの客からもモトをとるという原則に基づいています。携帯電話の契約が典型的。

株式型とは「一部のお客さんについては完全に無料のままタダ乗りされてもよいが、お金に余裕のあるお客さんからの利益も含めて、全体で黒字になればいいとした商売」だそうです。

この本では後者について説明、推奨しています。

「たくさん払ってくれる客にはなるべく高く売り、そうでない客には安くで売るかあるいは売らない」というのが正しいやり方だそうです。

しかし、この本に載っている事例はそう多くないので、読んだ人が自分の業界にあてはめるのにはかなりの手間と知恵が必要のようです。

資源価格の高騰が物価に反映されないのはナゼ

無料ビジネスとはちょっと関係ないですが、こういう話も載っています。

日本では資源価格の高騰が物価に反映されず、インフレになるどころかデフレ傾向が強まります。これは正反対ではないでしょうか。

私も以前から不思議に思っていましたが、これは日本人の高い製造コストが原因ということです。

企業は原材料費が高騰すると人件費を減らして価格を据え置こうとするのです。

それで正社員が減って社会全体としてデフレ傾向になると説明されています。

電子書籍は日本では普及しない

日本の本屋がすでに無料ビジネスなんです。自由に立ち読みができますので。

それに図書館という別の無料ビジネス(ビジネスとは言いにくいが)もあります。

ですから電子書籍の無料ビジネス戦略はこれらと戦わないといけないので、よほどのメリットがないと成り立ちません。

生半可な無料ビジネス戦略で顧客を囲い込もうと思っても、この二者の無料ビジネスの効果が非常に強力なので難しいのです。

本を全く読まない読者を獲得する(ケータイ小説などがあたりますね)ことに努力したほうがいいのかもしれませんね。

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